[バンコク 30日 ロイター] - タイ銀行(中央銀行)は30日、金融政策委員会を開催し、政策金利の翌日物レポ金利を全会一致で過去最低水準の0.50%に据え置いた。今年の成長率予想を引き下げる一方、インフレ率は年内は中銀の目標を上回ると予想した。
金利据え置きは15回連続。グローバルなリスクに直面するタイ経済は回復がもたついており、低金利を維持することで下支えする。
ロイター調査では、22人のエコノミスト全員が据え置きを予想していた。
中銀は声明で「対ロシア制裁の影響でエネルギー・コモディティー価格が上昇し外需が減速しているものの、タイ経済の22年、23年の回復見通しに影響はない」との見解を示した。
中銀高官は会見で、供給問題に起因するインフレは一時的との認識を示し、政策調整は早くて来年後半とみられる潜在成長率の水準を回復した時点で検討すべきと指摘。「政策金利は直接的手段であり、かなり前もって検討する必要がある」と述べた。
中銀は22年の経済成長率予想を昨年12月時点の3.4%から3.2%へ引き下げた。
その一方で総合インフレ率は従来予想の1.7%から4.9%へ引き上げた。23年は1.7%へ減速し1─3%の目標に収まるとの見方を示した。
ロシアに対する制裁により商品(コモディティー)関連コストが上昇したが、景気が回復の道筋から外れることはないとした。
インフレ率は2月に13年ぶりの高水準となる5.28%へ上昇したが、観光業の苦戦が続いているため、直ちに政策引き締めが行われる可能性は低いとエコノミストは予想している。
中銀は今年の外国人観光客の見通しを560万人に据え置いた。21年は約42万8000人、新型コロナウイルス流行前の19年は4000万人だった。
今年の輸出の伸びは7.0%とし、3.5%から引き上げた。