[チューリヒ 25日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は25日、超緩和的な金融政策の維持を決定した。その一方でインフレ率の見通しを引き上げ、為替介入についての表現を弱めたが、拡張的な金融政策を終了するサインではないとの見方が大勢だ。
中銀は、政策金利と中銀預金金利をエコノミスト予想通りマイナス0.75%に据え置いた。
安全資産であるフランへの需要が後退する中、フランは対ユーロで3%値を下げている。
中銀は「最近の下落にもかかわらず、フランの価値は高いままだ。経済活動と物価動向を安定に向け、中銀は拡張的な金融政策を維持する」と説明。
また、「拡張的な金融政策は好ましい資金調達状況を提供し、フランの上昇圧力に対抗しているほか、経済に対する適切な信用と流動性の供給に寄与している」とした。
為替相場について、前回12月の会合では「さらに強力な介入を実施する用意がある」と表明したが、今回は「必要に応じて」行うとトーンダウンした。
ジョルダン総裁は、フランの下落を歓迎した上で、文言変更は当面の金融政策変更を示すものでは全くないと指摘。「必要なら介入するという姿勢に変わりはない」と述べた。
UBSのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は「介入への姿勢に変化が見られる」と指摘。「だが金融政策の変更ではない。スイスフランの対ユーロ相場がこれ以上の介入を望まない水準になったという事実を反映しているだけだ」と分析した。
中銀は2021年の国内経済成長率を2.5─3%と予測。昨年12月時点の予想から変更はなかった。
インフレ率見通しは小幅に引き上げ、21年は0.2%、22年は0.4%とした。今回初めて示した23年は0.5%と見込んでいる。
ジョルダン総裁はインフレ見通しは引き続き低いとし、物価安定達成の目標に向け超低金利政策を続ける必要があるとし「当面は金融政策を変更することはなく、拡張的政策を続けて景気を支援し、インフレをプラス圏に戻す」と語った。
ザンクト・ガラー・カントナル銀行のエコノミスト、トーマス・シュトゥッキ氏は「中銀が物価上昇を一時的なものとみている限り、利上げは遠い」との見方を示した。
「スイス中銀は欧州中央銀行(ECB)(の動き)を待っており、ECBは米連邦準備理事会(FRB)を待っている」と語った。
*内容を追加します。