■決算動向
(1) IFRSと日本の会計基準(J-GAAP)との相違
日本基準の連結損益計算書がIFRSでは連結包括利益計算書、日本基準の連結貸借対照表が連結財政状態計算書と名称が異なる。
ただし、後者については基本的な様式に大きな相違はない。
前者の相違点としては、連結包括利益計算書には日本基準のような経常損益、営業外損益、特別損益の概念、項目がなく、IFRSにおける営業損益は、投資損益、金融損益、持分法損益、法人所得税、非継続事業からの損益以外の損益となる。
したがって、日本基準で特別損益に計上される固定資産の売却損益や減損損失は、IFRSではその他の収益・費用という項目に計上され、営業損益に含まれることになる。
IFRSにおける税引前利益は日本基準の税金等調整前当期純利益(経常利益に特別損益を加減算したもの)に相当する。
不動産会社の利益に影響を与える項目としては、1)開発物件の開発期間中の借入費用がIFRSでは資産計上される、2)減損損失の認識のタイミングがIFRSでは1ステップアプローチの採用により日本基準より早く、また、減損の原因となった事象が解消された場合、戻入を行う(日本基準は戻入不可)、など様々あるが、総じて影響は限定的。
両基準の差が確認できるトーセイ (T:8923)の12/11期決算を見ても売上高、利益ともその差は軽微である。
(2) 2015年11月期業績概況 1月13日に発表された2015年11月期決算(連結)は、売上高430億円(前期比14.0%減)、営業利益68.9億円(同23.9%増)、税引前利益60.4億円(同29.5%増)、当期利益41.3億円(同43.9%増)。
中期経営計画の初年度となるが、順調なスタートを切った。
期中に業績予想を2度修正しており、2015年10月28日の2度目の修正予想を若干上回って着地した。
期初予想に対しては、売上高は134億円下回ったにもかかわらず、営業利益は8.9億円、税引前利は9.9億円、当期利益は8.7億円、それぞれ上回った。
営業利益が期初予想を上回った主因は、1)不動産ファンド・コンサルティング事業においてマイナー出資をしているファンドからの売却配当が7.2億円計上されたこと、2)不動産流動化事業の売上総利益率の上振れ。
売上高が期初予想を大きく下回ったのは、不動産流動化事業において、1)トーセイ・リート投資法人へのブリッジ案件の売却が想定より少なくなった、2)全体の利益が期初計画を超過達成する見通しとなったことや不動産価格の先高観から一部の売却予定物件(約50億円)を翌期以降に先送りした、ことによる。
前期比では、不動産流動化事業と不動産ファンド・コンサルティング事業がけん引。
不動産賃貸事業の売上総利益が19.1億円(大口テナントの退去に伴い前期比6.1億円減)となったが、これをカバーした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
ただし、後者については基本的な様式に大きな相違はない。
前者の相違点としては、連結包括利益計算書には日本基準のような経常損益、営業外損益、特別損益の概念、項目がなく、IFRSにおける営業損益は、投資損益、金融損益、持分法損益、法人所得税、非継続事業からの損益以外の損益となる。
したがって、日本基準で特別損益に計上される固定資産の売却損益や減損損失は、IFRSではその他の収益・費用という項目に計上され、営業損益に含まれることになる。
IFRSにおける税引前利益は日本基準の税金等調整前当期純利益(経常利益に特別損益を加減算したもの)に相当する。
不動産会社の利益に影響を与える項目としては、1)開発物件の開発期間中の借入費用がIFRSでは資産計上される、2)減損損失の認識のタイミングがIFRSでは1ステップアプローチの採用により日本基準より早く、また、減損の原因となった事象が解消された場合、戻入を行う(日本基準は戻入不可)、など様々あるが、総じて影響は限定的。
両基準の差が確認できるトーセイ (T:8923)の12/11期決算を見ても売上高、利益ともその差は軽微である。
(2) 2015年11月期業績概況 1月13日に発表された2015年11月期決算(連結)は、売上高430億円(前期比14.0%減)、営業利益68.9億円(同23.9%増)、税引前利益60.4億円(同29.5%増)、当期利益41.3億円(同43.9%増)。
中期経営計画の初年度となるが、順調なスタートを切った。
期中に業績予想を2度修正しており、2015年10月28日の2度目の修正予想を若干上回って着地した。
期初予想に対しては、売上高は134億円下回ったにもかかわらず、営業利益は8.9億円、税引前利は9.9億円、当期利益は8.7億円、それぞれ上回った。
営業利益が期初予想を上回った主因は、1)不動産ファンド・コンサルティング事業においてマイナー出資をしているファンドからの売却配当が7.2億円計上されたこと、2)不動産流動化事業の売上総利益率の上振れ。
売上高が期初予想を大きく下回ったのは、不動産流動化事業において、1)トーセイ・リート投資法人へのブリッジ案件の売却が想定より少なくなった、2)全体の利益が期初計画を超過達成する見通しとなったことや不動産価格の先高観から一部の売却予定物件(約50億円)を翌期以降に先送りした、ことによる。
前期比では、不動産流動化事業と不動産ファンド・コンサルティング事業がけん引。
不動産賃貸事業の売上総利益が19.1億円(大口テナントの退去に伴い前期比6.1億円減)となったが、これをカバーした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)