米中貿易戦争が今週も投資家にとって最大の関心事であることは続くが、その他でいえばFOMC議事要旨、米国の小売会社決算や経済指標、EU選挙が注目される。下記が今週関心を払うべき5つのポイントだ。
1. 米中貿易戦争
米中貿易戦争が厳しさを増し、世界経済の成長見通しに対する新たな懸念が高まる中、今週も貿易問題が市場の最大の関心事となるだろう。
「世界経済に対する市場の懸念を強めるような緊張状態となっているこの問題は今週も市場を動かす中心の話題であり続けるでしょう。トランプ大統領が習近平国家主席と会談する6月のG20サミットに向けて、近々で市場が楽観的になる理由はほとんどありません」とINGは述べた。
米国は自動車関税発動を遅らせることで日欧との貿易戦争の拡大を止めたが、延期しただけで関税の脅威は依然として残っている。
2. FOMC議事要旨
木曜日午前3時に4月30日と5月1日に開かれたFOMCの議事要旨が公開される。
FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長はどちらの方向(利上げと利下げ)にも政策金利を動かす強い根拠がなかったと言った。
しかし、低迷する消費者物価指数と経済の不確実性を背景に、一部のFRBメンバーは、インフレ率が上昇しなければ利下げの可能性があると指摘している。
パウエル議長、 クラリダ副議長、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、{ {ecl-838 || ブラード・セントルイス連銀総裁}}は今週講演が予定されている。
3. 注目すべき経済指標
米国と世界全体の経済成長見通しへの貿易戦争が与える影響度について考察する上で、新たな経済指標が注目されるだろう。
第2四半期の強い経済成長の兆しを投資家が探している中、ユーロ圏 総合PMI速報値と 独Ifo景況指数が発表される。その他、英国CPIとカナダ小売売上高も発表される。
4. 小売業決算
先月の米小売売上高の予想外の低下が消費支出の回復について疑問を投げかけた後だけに、投資家は大手小売のホーム・デポ(NYSE: HD)、ロウズ (NYSE:LOW)、コールズ(NYSE: KSS)、ノードストローム(NYSE: JWN)、ターゲット(NYSE: TGT)の決算、特に今後の見通しについて注目している。JCペニー(NYSE: JCP)とTJX(NYSE: TJX)も決算発表が予定されている。
ウォルマート(NYSE: WMT)とメイシーズ(NYSE: M)の決算は、すでに先週発表された。予想を上回る決算の一方で、両社は米中貿易戦争による売上高の低下と価格上昇について警告した。
この警告はまた、ドナルド・トランプ大統領による「アメリカの消費者ではなく中国が関税を払う」という主張を弱めることになった。
5. EU選挙
欧州連合は5月23日に始まる投票でEU議会議員を選ぶ。その結果次第でEUの方向性が変わる歴史的な選挙になる可能性がある。
ユーロ懐疑派が躍進することが予想されており、それは次の欧州委員会委員長決定と予算の成立を妨げる可能性がある。
英国保守党の敗北は、メイ首相の辞任を加速させ、「合意のない」ブレグジットの可能性を高める。イタリアでも懐疑派が票を伸ばせば、連立政権を解散させ新たに選挙となって極右のサルヴィーニ氏の勢力を伸ばすことになるかもしれない。