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日プロ Research Memo(3):社会インフラ分野の制御・組込システムで培った高品質・信頼性が強み

発行済 2019-08-20 15:23
更新済 2019-08-20 15:41
© Reuters.  日プロ Research Memo(3):社会インフラ分野の制御・組込システムで培った高品質・信頼性が強み
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■日本プロセス (T:9651)の事業概要1. 社会インフラ分野の制御・組込システムで培った高品質・信頼性を強みとして6分野に展開電力制御、鉄道運行管理、自動車パワートレイン制御・車載情報、リモートセンシング、防災など、安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御システムと、情報家電、建設、医療など社会インフラを支える機器の組込システム開発で培った高品質・信頼性を強みとして事業展開している。

報告セグメントは制御システム、自動車システム、特定情報システム、組込システム、産業・公共システム、及びITサービスの6分野としている。

各セグメントの概要は以下のとおりである。

(1) 制御システムエネルギー関連分野の火力発電所監視・制御システム、電力系統制御システム、配電自動化システム、交通関連分野の新幹線運行管理システム、JR在来線運行管理システム、過密ダイヤに対応した東京圏輸送管理システム(ATOS=Autonomous decentralized Transport Operation control System)などを展開している。

交通関連分野では台湾新幹線のシステム開発にも携わった。

特に安心・安全が重視される難易度の高い社会インフラ分野であり、豊富な実績と高品質・信頼性を強みとして、顧客との強固な信頼関係を構築している。

(2) 自動車システムエンジン、トランスミッション、ステアリングなど自動車の基本性能「走る、曲がる、止まる」をコントロールするパワートレイン車載制御システム、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)など環境対応車制御システム、カーナビゲーションなど社会とつながる車載情報システム、強みとする画像処理技術を生かした自動運転・ADASの外界認識センサーシステムなどを展開している。

事故のない安全・安心なモビリティー社会の実現に貢献すべく、これまでに培った技術を結集して自動運転に向けたシステム開発に取り組んでいる。

なお、自動運転・ADAS関連の主力事業化が進展し自動車システム事業が大きく拡大したことから、2019年6月に車載システム事業部を新設した。

(3) 特定情報システム航空/宇宙関連、気象・防災・環境関連、資源探査関連として、衛星画像地上システム、画像解析システム、地理情報システム、リモートセンシングシステムなどを展開している。

強みを持つ画像認識・識別技術をベースとして、画像解析に不可欠となるAIを組み合わせて、より高度な画像利用分野への展開を図ることで、危機管理や防災など社会の安全・安心に貢献する取り組みを強化している。

(4) 組込システム大型汎用コンピュータのオペレーティングシステム(OS)開発から事業スタートし、スマートフォン、タブレット端末、情報家電、半導体記憶装置(SSD=Solid State Drive)など幅広い電子製品・部品の組込ソフトウェアとして、近・遠距離無線通信システム、スマートフォン組込システム、情報家電組込システム、デジタル複合機組込システム、半導体記憶装置組込システムなどを展開している。

難易度の高いファームウェアやミドルウェアのソフトウェア開発に強みを持ち、IoTに対応した建設機械や医療機器など新たな製品分野への展開も推進している。

(5) 産業・公共システム様々なビジネス分野で企業の業務効率化を実現するアプリケーションの開発や、社会インフラを支える公共システム開発として、駅務機器・自動券売機・自動改札機システム、ICカードシステム、コンテンツ管理システム、準天頂衛星システムなど幅広く展開している。

これまで培ってきた制御・組込技術とWeb技術を融合させ、AI関連、IoT関連、スマートシティ関連などの分野に事業領域を拡大する方針だ。

(6) ITサービスシステムの開発環境・運用環境の構築、システム運用統合監視サービス、情報家電製品の動作検証など、システムに関わるトータルサポートサービスを提供している。

制御・組込システムの開発・運用・保守で蓄積された技術ノウハウと提案力で顧客との信頼関係を構築し、顧客の「モノづくり」に関わるサービス全般を包括的にサポートしている。

あらゆる分野でクラウド環境のニーズが高まっているなか、パブリッククラウドのシステム構築を主力事業にすべく取り組みを強化している。

2. 制御システム、自動車システム、産業・公共システムが主力セグメント別売上高と構成比の推移、及びセグメント利益と構成比の推移について述べる。

セグメント別に過去4期平均で見ると、売上高構成比は自動車システム24.7%、産業・公共システム22.1%、制御システム17.7%、営業利益構成比は産業・公共システム24.8%、自動車システム24.2%、制御システム18.9%の順となり、制御システム、自動車システム、産業・公共システムが主力となっている。

制御システム、自動車システム、組込システムは、大手電機メーカーとの長年にわたる強固な信頼関係を背景として、売上高、営業利益とも拡大基調である。

産業・公共システムは多種多様なメーカーと取引しているため、期によってやや変動する傾向もあるが、おおむね堅調に推移している。

ITサービスは2017年5月期に会計システムが終了した影響が一巡し、2019年5月期は回復した。

セグメント利益率(調整前)の推移、及び主要販売先の売上構成比の推移は以下のとおりである。

セグメント利益率(調整前)は、主力の制御システム、組込システム、産業・公共システムがおおむね20%台で安定的に推移している。

自動車システムは中国のオフショア開発子会社IPD大連における生産性向上効果も寄与して上昇基調である。

特定情報システムは2019年5月期に一時的な作業効率悪化で利益率が低下したが、2020年5月期は回復見込みである。

ITサービスは前述の会計システム終了の影響が一巡し、2019年5月期は回復した。

2019年5月期の主要販売先の売上構成比は日立製作所 (T:6501)23.8%、日立オートモティブシステムズ(株)17.3%だった。

電力関連、鉄道関連、車載関連、半導体関連などで、日立グループ、東芝 (T:6502)グループ、NEC (T:6701)グループや、(株)JR東日本情報システム、アルパイン(株)など、大手電機メーカーや特定優良顧客と強固な信頼関係を構築していることも特徴である。

このため受注競合が少なく、顧客からの直接受注(元請け)比率がほぼ100%であることも安定収益につながっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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