[16日 ロイター] - 世界第2位の鉄鋼メーカー、アルセロール・ミタルが米鉄鋼大手USスチールに対する買収提案を検討していると、事情に詳しい関係者3人が16日、匿名で述べた。
関係者によると、アルセロール・ミタルは買収提案の可能性について投資銀行と協議しているものの、提案に踏み切るかどうかは不確実という。
USスチールを巡っては、同業の米クリーブランド・クリフスと未上場企業エスマークがそれぞれ70億ドル以上の買収案を提示している。
アルセロール・ミタルとUSスチールは現時点でコメント要請に応じていない。
USスチールの従業員が加盟する全米鉄鋼労組(USW)のトム・コンウェイ国際会長は、アルセロール・ミタルが買収を提案すれば「愚か」だとし、USWはクリーブランド・クリフス以外の買い手を支持しないとロイターに語った。
USスチールはクリーブランド・クリフスの買収案を「不合理」だとして拒否している。
アルセロール・ミタルが買収検討と報じられる中、USスチールの株価は16日の取引で一時6.3%急伸したが、労組の反対表明を受けて上げ幅を縮小。1.4%高の30.65ドルで引けた。
モルガン・スタンレーのアナリストは16日付のリサーチノートで、アルセロール・ミタルの動きについて、温室効果ガス排出量を削減し、インドとブラジルでの成長に焦点を当てるという同社の戦略と食い違うと指摘。USスチール買収によるコストシナジー効果の余地も限られているとの見方を示した。