■業績動向
1. 2018年3月期の業績概要
イー・ギャランティ (T:8771)の2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の5,105百万円、営業利益が同7.4%増の2,276百万円、経常利益が同7.0%増の2,302百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.9%増の1,468百万円となった。
国内景気が堅調に推移するなかで、信用リスク受託ビジネスの裾野拡大を目指し、新たなチャネルとして琉球銀行 (T:8399)ほか3社と業務提携を締結した。
また、高度な審査力を背景とした細かな保証料率の設定や、過去に接触した顧客への再アプローチを実施し、顧客ニーズに応じたサービスを提供するなどコンサルティング営業を強化したことで、期末の信用保証残高は前期末比15.6%増の3,453億円と順調に拡大した。
売上原価率が前期比3.4ポイント上昇の20.7%となったが、これは保証対象債権を低リスクゾーンだけにとどまらずミドルリスクゾーンまで広げたことで、再保証料が増加したことが要因となっている。
今まで蓄積してきた顧客データ等の分析により、倒産確率の精度(=保証料率)が向上し、引受けを行っても収益化が可能と判断して2018年3月期より展開を開始している。
例えば、従来は倒産確率が1%以下の企業の売掛債権を対象としていたが、対象範囲を1.5%まで拡大するといった格好となっている。
当初は売上原価率の上昇要因となるが、実績を積み上げていくことでより精度の高い保証料率を設定していくことが可能になると見られる。
また、期初会社計画との比較では売上高が1.8%下回ったが、これは保証料率の高いミドルリスクの債権引受けが計画を下回ったことが要因で、保証残高については計画を達成している。
一方、利益ベースでは低リスクゾーンの債権引受けが計画を上回ったことで原価率が想定よりも改善し、期初計画を若干上回って着地した。
財務内容は健全で、高収益性と安定性を備えたビジネスモデルを構築
2. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,635百万円増加の14,368百万円となった。
主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金がESOP信託(従業員持株会支援信託)による保有株式の売却(1,281百万円)や収益増に伴い1,825百万円増加し、固定資産では社員寮の取得に伴い有形固定資産が502百万円増加した。
負債合計は前期末比1,470百万円増加の4,928百万円となった。
主な増減要因を見ると、ESOP信託の保有株式売却に伴い預り金が1,107百万円増加したほか、信用保証残高の拡大に伴い前受金が160百万円、未払法人税等が105百万円それぞれ増加した。
また、純資産は前期末比1,164百万円増加の9,440百万円となった。
利益剰余金が1,047百万円増加したほか、ESOP信託の売却に伴い自己株式が166百万円減少(増加要因)した。
経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末比2.4ポイント低下の58.0%となったが、ESOP信託の保有株式売却により預り金が増加したことが要因となっている。
また、手元キャッシュも潤沢で有利子負債残高もないことから、財務の健全性は高いと判断される。
収益性について見ると、売上高営業利益率は戦略的にミドルリスクの引受けも開始したことで前期から若干低下したものの、それでも44.6%と高収益性を維持している。
また、ROAやROEについてもそれぞれ17.6%、19.0%と前期比で若干低下したが、ここ数年で見れば高水準を維持しており、収益の安定性が高いことも同社の特徴の1つとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 2018年3月期の業績概要
イー・ギャランティ (T:8771)の2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の5,105百万円、営業利益が同7.4%増の2,276百万円、経常利益が同7.0%増の2,302百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.9%増の1,468百万円となった。
国内景気が堅調に推移するなかで、信用リスク受託ビジネスの裾野拡大を目指し、新たなチャネルとして琉球銀行 (T:8399)ほか3社と業務提携を締結した。
また、高度な審査力を背景とした細かな保証料率の設定や、過去に接触した顧客への再アプローチを実施し、顧客ニーズに応じたサービスを提供するなどコンサルティング営業を強化したことで、期末の信用保証残高は前期末比15.6%増の3,453億円と順調に拡大した。
売上原価率が前期比3.4ポイント上昇の20.7%となったが、これは保証対象債権を低リスクゾーンだけにとどまらずミドルリスクゾーンまで広げたことで、再保証料が増加したことが要因となっている。
今まで蓄積してきた顧客データ等の分析により、倒産確率の精度(=保証料率)が向上し、引受けを行っても収益化が可能と判断して2018年3月期より展開を開始している。
例えば、従来は倒産確率が1%以下の企業の売掛債権を対象としていたが、対象範囲を1.5%まで拡大するといった格好となっている。
当初は売上原価率の上昇要因となるが、実績を積み上げていくことでより精度の高い保証料率を設定していくことが可能になると見られる。
また、期初会社計画との比較では売上高が1.8%下回ったが、これは保証料率の高いミドルリスクの債権引受けが計画を下回ったことが要因で、保証残高については計画を達成している。
一方、利益ベースでは低リスクゾーンの債権引受けが計画を上回ったことで原価率が想定よりも改善し、期初計画を若干上回って着地した。
財務内容は健全で、高収益性と安定性を備えたビジネスモデルを構築
2. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,635百万円増加の14,368百万円となった。
主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金がESOP信託(従業員持株会支援信託)による保有株式の売却(1,281百万円)や収益増に伴い1,825百万円増加し、固定資産では社員寮の取得に伴い有形固定資産が502百万円増加した。
負債合計は前期末比1,470百万円増加の4,928百万円となった。
主な増減要因を見ると、ESOP信託の保有株式売却に伴い預り金が1,107百万円増加したほか、信用保証残高の拡大に伴い前受金が160百万円、未払法人税等が105百万円それぞれ増加した。
また、純資産は前期末比1,164百万円増加の9,440百万円となった。
利益剰余金が1,047百万円増加したほか、ESOP信託の売却に伴い自己株式が166百万円減少(増加要因)した。
経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末比2.4ポイント低下の58.0%となったが、ESOP信託の保有株式売却により預り金が増加したことが要因となっている。
また、手元キャッシュも潤沢で有利子負債残高もないことから、財務の健全性は高いと判断される。
収益性について見ると、売上高営業利益率は戦略的にミドルリスクの引受けも開始したことで前期から若干低下したものの、それでも44.6%と高収益性を維持している。
また、ROAやROEについてもそれぞれ17.6%、19.0%と前期比で若干低下したが、ここ数年で見れば高水準を維持しており、収益の安定性が高いことも同社の特徴の1つとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)