[シドニー 8日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は8日に公表した四半期報告で、国内経済は軟調局面から徐々に脱しつつあるとの見方を示した。一方、今後の賃金やインフレ動向についてはより慎重な見方を示し、必要なら金融政策を一段と緩和する用意があるとの認識を示した。
世界の金融市場は「悲観主義の底」を脱したもようだとし、前回8月の報告書よりも世界経済について楽観的な見方を示した。
賃金については「持ち直しはもはや予想せず」とし、2021年末まで賃金の伸びは2.3%にとどまるとの見方を示した。
また、基調インフレは2020年まで、2─3%に届かない見通しで、失業率は目標の4.5%を引き続き上回るとし、長期にわたり緩和策が必要な根拠を示した。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のエコノミストはリポートで、中銀は「明確な緩和バイアスを確認したが、一方で、政策金利が事実上の下限(ELB)に近づくなか、追加緩和に慎重であることも示唆した」と説明した。
ロウ総裁は「金利は既に非常に低水準で、一段の利下げにより、別の政策オプションに近づくと認識している」とした。
豪中銀は6月、7月、および10月の利下げで政策金利を過去最低の0.75%に引き下げた。11月には、これまでの利下げの効果を見極めるとし、金利を据え置いた。
市場では最近、12月の利下げ観測が後退した。ただ、来年の追加利下げの可能性は引き続き60%程度織り込んでいる。
2020年と21年の成長率がそれぞれ、2.75%と3%になるとし、前回予想を据え置いた。一方、19年は2.5%から2.25%に引き下げた。
中銀は「労働市場の余剰は今後数年続く見通しだ」とし、「この見通しと一致して賃金の伸びは低水準で、上向く兆しはほとんどみられない」と指摘した。その上で、「インフレ率を2─3%の目標レンジ内に継続的に維持するには賃金の伸びの加速が必要だ」との認識を示した。
東部沿岸地域を中心に住宅価格がこのところ底堅く推移していると指摘し、住宅市場の回復は、これまで想定されていたよりも「早期かつ急速」だとの見方を示した。
住宅価格の回復に支えられて家計の消費は徐々に拡大する見通しだが、「回復時期とそのスピード、および、住宅市場の家計消費への影響」の先行きが主な不透明要因だと説明した。
2017年以降の住宅市場の低迷は、予想以上に経済全体に影響を及ぼしているとの見方を示した。
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