[東京 26日 ロイター] - 日銀は2021年度、気候変動リスクがもたらす金融機関の財務への影響について、金融庁と共同で分析・検討を進める方針だ。複数の関係者が明らかにした。気候変動リスクへの対応について各国の中央銀行が取り組みを進める中、日本でも金融当局同士で認識を共有し、研究を進める必要があるとの考えが背景にある。
気候変動がもたらす金融機関の財務面への影響の計測、ストレステスト(健全性審査)を視野に入れた手法の研究、先行している欧州の取り組みの研究などがテーマになるとみられる。
金融庁と日銀は現在、金融機関への金融庁検査と日銀考査の一体運用に向けて協議を進めている。日銀は、3月に公表する21年度の考査方針で金融庁との連携を盛り込む方向だ。
両者はこれまでも、気候変動リスクの影響に関して議論してきた。海外各国が取り組みを強化する中で連携を深化させる必要があるとの声が双方から出ている。
米国ではバイデン政権の発足で気候変動への取り組みを強化。昨年12月には、金融庁や日銀も加入している「気候変動リスク等に関する金融当局者ネットワーク」(NGFS)に米連邦準備理事会(FRB)が加入した。
フランス中銀は今年、欧州中央銀行やイングランド銀行(英中銀)は2022年に気候変動リスクをテーマとする銀行のストレステストの結果公表を予定している。日本の当局も将来的なストレステストの実施を視野に入れているが、日銀では、欧州各国にそれほど遅れない形でストレステストを実施したいとの声が出ている。
(和田崇彦、木原麗花)