[フランクフルト 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会の開催を来週に控え、当局者らは3日、金融市場の混乱の引き金となった債券利回り上昇への対応を巡って発言を行ったが、それぞれの主張には温度差が見られた。
理事会のメンバーのデコス・スペイン中銀総裁は、利回りの上昇が正当化されず、ユーロ圏の景気回復に支障をきたすとしてハト派の議論を展開。「名目長期金利の上昇は長期インフレ期待の上昇を伴っていないため、経済活動、ひいてはインフレにマイナスの影響を及ぼす恐れがある」とし、「こうしたことは、名目金利の尚早な上昇を防ぐことが重要であることを如実に示している」と発言した。
また、一段の利下げは提唱しなかったものの、「インフレ目標達成にまだ長い道のりが残されているため、極めて緩和的な金融情勢を維持する必要性は正当化されている」と語った。
一方、理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁は、利回りが依然として低水準にとどまっており、ECBとして対処する前にまず上昇の理由を解明する必要があると指摘。「インフレ期待の高まりによる利回り上昇と、経済見通しの改善による利回り上昇とでは、対応の仕方が異なる」とし、11日の理事会では利回り上昇の背景を検証すべきと主張した。
さらに、利回りの上昇が正当化できないと判断された場合、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の現在の枠組みの中で債券買い入れを増額できると述べた。
デギンドス副総裁は、利回りの上昇を特に問題視せず、経済見通しや良好な資金調達環境を維持するための政策に「満足」していると表明。また、理事会メンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁は、利回りの上昇を踏まえ、ECBがイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)を導入することは困難になったという見方を示した。[nL3N2L13V1]