[上海 16日 ロイター] - 中国国有銀行の少なくとも1行が、オンショア市場で大規模な通貨スワップ取引を実施していることが、8人の関係筋の話で明らかになった。国内行が大量のドル資金の流入に対応を迫られる中、人民元相場の上昇抑制に向けた取り組みの一環とみられる。
関係筋によると、この銀行は輸出業者を含む顧客企業からドルを買い入れると同時に、ドル・中国人民元の売買スワップを実施。「この大手行はスワップ市場でかなりの大規模な1年物のドルを買い入れていた」と述べた。
中国経済は新型コロナウイルス感染拡大の影響から急速に回復。輸出が増加したことで、2020年の貿易黒字は5350億3000万ドルと、15年以来の高水準に達した。アナリストは、こうしたことを背景に、企業の間で相場が一段と上昇する前にドルを人民元に変える動きが加速しているとの見方を示している。
人民元は昨年9月末から約5%上昇。ただ、中国の外貨準備は3兆ドル強と、過去数年間ほとんど変動していない。
エコノミストらは、中国人民銀行(中央銀行)による外貨の純購入が過去数カ月、ほぼ変わらない水準で推移していることから、商業銀行は顧客企業から得たドル資金を人民銀を通してスワップしていないことが示唆されると指摘。ドル資金が銀行間市場に流出している可能性があるとしている。
みずほ銀行(香港)のチーフ・アジア外為ストラテジスト、ケン・チュン氏は「企業からの外貨がスワップ市場に流れた可能性がある。こうした動きは統計に反映されない」と述べた。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20210316T152726+0000