[チューリヒ 1日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)のツアブリュック副総裁は、スイスフランが今年下落しているものの、外国為替市場への介入は引き続き重要なツールだとの認識を示した。
1日付のスイス紙コリエーレ・デル・ティチーノに掲載されるインタビュー記事で述べた。
同副総裁は、世界経済の見通し改善によりフランなどの安全資産への需要が低下していると指摘。景気刺激策を背景にしたユーロ圏の信頼感の高まりも、フランの対ユーロ相場を抑制しているとの見方を示した。
その上で「フランは依然として高い水準にあると考えている」と述べ、超緩和的な金融政策を維持する姿勢を示唆した。
「インフレ率はまだ非常に低く、国内総生産(GDP)も危機以前の水準に達していない。そのため、われわれは景気刺激的な金融政策が引き続き適切であると確信している」と述べた。
スイス中銀は6月17日に次回の政策会合を開く。
同中銀は過去6年間にわたり、中銀預金金利をマイナス0.75%に据え置くとともに、外為市場への介入を実施してきた。
ツアブリュック副総裁は、中銀が輸出セクターを保護するためにフラン安を誘導しているという見方は「完全に誤っている」と指摘。「スイスのように小さく開放的な国では、為替相場がインフレと経済成長の両方に大きな影響を与えることを念頭に置かなければならない」とし、「そのため、従来の金利政策とともに為替介入ツールを維持することが重要だ」と語った。
また、低金利やマイナス金利はスイスの不動産価格を大幅に押し上げているものの、マイナス面よりもプラス面が明らかに多いと指摘。「この景気刺激的な政策がなければ、フランはもっと高い水準になり、成長率やインフレ率は低下し、失業率も悪化しているだろう」と述べ、中銀の政策が国民のより良い生活に寄与しているとの考えを示した。