[ウェリントン 14日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は14日、大規模資産買い入れ(LSAP)プログラムに基づく追加的な資産購入を23日から停止すると発表した。発表を受けて中銀が早期に利上げに動くとの見方が広がり、NZドルは大幅に上昇した。
政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)は予想通り、0.25%に据え置いた。資金供給プログラム(FLP)のオペレーションも変更しない。
ロイター調査によると、エコノミストは全員一致で金利据え置きを予想していたが、資産買い入れについては、変更ないとの見方が大勢だった。
中銀の発表を受けてNZドルは1.1%高の0.7017米ドルを付けた。2年債利回りも9ベーシスポイント(bp)上昇し、1.668%と、年初来の高水準を記録した。
オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)のチーフエコノミスト、シャロン・ゾルナー氏は「中銀はきょう、8月の利上げに向け、市場の準備を促す十分なジェスチャーをした」と指摘。今後、消費者物価指数(CPI)と労働市場のデータが焦点になるとの見方を示した。
中銀は声明で「金融政策委員会は、消費者物価と雇用に関する目標を中期的に達成するため、金融政策の景気刺激レベルを下げることで合意した」と表明。議事要旨で「複数のメンバーはデフレと高失業の主なダウンサイドリスクが後退しているとの認識で一致した」と指摘した。
企業の見通しの大幅な改善と、インフレ加速などを踏まえ、数週間前からエコノミストは利上げ予想を前倒しし、年末にも利上げに踏み切るとの予想も出ていた。
ASB銀行のチーフエコノミスト、ニック・タフリー氏は「NZ中銀は進路を明確に変えた」とした上で、「インフレと雇用が目標をアンダーシュートするリスクは、現行水準の刺激策が続けば、目標をオーバーシュートするリスクに切り替わった」と述べた。
中銀は5月の政策会合後に、2022年9月までの利上げを予想した。ただオア総裁はその後、物価と雇用の目標が持続的に達成される状況になってから政策引き締めを検討する方針を示していた。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)も今月、債券買い入れの縮小を決定したが、金利については24年まで現行水準にとどまるとの見通しを示した。