[ワシントン 14日 ロイター] - 今週発表された米銀大手4行の第2・四半期決算は軒並み好調な内容となった。米経済が回復し始めている上、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う貸倒損失が顕在化しなかったことが寄与した。
ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、JPモルガン・チェースの利益は合計で330億ドル。パンデミック禍で昨年積み増した貸倒引当金を90億ドル戻し入れたことが利益を押し上げた。
アナリスト予想は合計で約240億ドル。前年同期は60億ドルだった。
各行によると、個人消費がパンデミック前の水準を度々上回っているほか、信用度が改善し、貯蓄や投資も増加しているという。
シティのジェーン・フレイザー最高経営責任者(CEO)は声明で「世界的な景気回復ペースは当初予想を上回り、それに伴って消費者や企業の信頼感も高まっている」と述べた。
このような見方は消費者向け融資の回復に反映されている。
例えば、JPモルガンではデビットカードとクレジットカードを合わせた消費額が2019年第2・四半期から22%増加した。
米国内のシティブランドのクレジットカードの消費額は前年同期比で40%急増。ただ、返済増加によりカードローンは4%減少した。
シティグループのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は、年後半に政府の刺激策が終了すれば、パンデミック前のようにリボ払いを利用する顧客が増えると予想する。
Wファーゴは店頭での売買増加を受け、クレジットカード収入が前年同期比14%増加した。
ローンの伸びはまだ弱いものの、BofAのローン残高(米政府のパンデミック支援プログラムに関連するローンを除く)が第1・四半期から51億ドル増加するなど需要が回復する兆候が見られた。
ただ、低金利やトレーディングの減速などが今後の業績を圧迫するとアナリストは指摘している。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、下院金融サービス委員会の公聴会で証言し、量的緩和縮小の開始など、支援策の解除は「まだ先」との見解を示した上で、「景気回復が完了するまで」、FRBは金融政策を通じて経済に「強力な支援」を提供すると表明した。
これは銀行が長期間にわたって低金利に取り組まなければならないことを示唆している。