[オタワ 9日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は9日、カナダ経済は量的緩和(QE)政策を続ける必要がない段階に近づいているとした上で、まだその段階には至っていないと述べた。
カナダ銀行は前日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を予想通り過去最低の0.25%に据え置くとともに、毎週の国債純買い入れ額を20億カナダドルに維持することを決定した。
マックレム総裁は9日の講演で、「景気回復が進むにつれ、QEによる刺激策の継続が必要でなくなる時期が近づいているが、まだそこには至っていない」とし、その時期は経済情勢に左右されると指摘。
「(満期を迎える債券の)再投資のみを行う段階に達したら、少なくとも政策金利を引き上げるまでは一定期間その状態が続くと考えるのが妥当だ」と述べた。
アナリストは、中銀が10月の決定会合で毎週の国債純買い入れ額を20億カナダドルから10億カナダドルに減額させれば、同月にも再投資段階に移行する可能性があるとの見方を示している。
ただマックレム総裁は、再投資段階への移行は経済情勢によるとの考えを示し、「カナダは現在、新型コロナウイルス感染拡大第4波に見舞われている。回復とわれわれの見通しに対する重しになる恐れがある」と述べた。
また、カナダで最も打撃を受けたセクターの多くが夏季にかけてようやく回復し始めたものの、回復はまだ不安定で、不確実性が残っていると言及。世界的な景気回復のリスクとして新型コロナウイルス感染者の増加やサプライチェーン(供給網)を巡る混乱があるとし、カナダ経済のパフォーマンスにも影響を与えるとした。
その上で「世界的なサプライチェーンの問題は徐々に解決されるだろうが、時間がかかる可能性がある」とした。