[上海/香港 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)と香港の中銀に相当する香港金融管理局(HKMA)は15日、中国本土と香港間の債券相互取引制度「債券通(ボンドコネクト)」について、本土投資家による香港市場での売買(南行き取引)を24日から開始すると発表した。
人民銀によると、南行き取引には本土の銀行41行と、「適格国内機関投資家(QDII)」および「人民元適格国内機関投資家(RQDII)」制度で認められた金融機関が参加する。
当初は1日当たり200億元(31億1000万ドル)、年間5000億元の投資枠を設ける。香港から本土に投資する「北行き」には枠はない。
HKMAの余偉文総裁は会見で「債券通制度は1日でできたものではない。南行き取引は適切なリスク管理慣行の下、徐々に発展するだろう」と述べた。
中国外貨取引センター(CFETS)は15日、同制度を通じた取引の対象になる債券のリストを公表すると発表。市場の状況や投資家のニーズに応じて更新していく方針を示した。
HKMAのエドモンド・ラウ副総裁は会見で、通貨の種類に関係なく香港市場で売買が可能な全ての債券が取引の対象になる可能性があると説明した。
中国は今月、広東省と香港・マカオの「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア、GBA)」における金融商品の相互投資制度「越境理財通(クロスボーダー・ウェルス・マネジメント・コネクト=WMC)」を開始すると発表したばかり。
ユニオン・バンケール・プリべのアジア担当シニアエコノミスト、カルロス・カサノバ氏は、越境理財通と南行き債券通の開始について、「中国が金融の普及深化を進める中でポートフォリオの流出を以前ほど懸念していないことを示している」と述べた。
みずほ(香港)のチーフアジア為替ストラテジスト、ケン・チャン氏は、両制度によって越境フローが促され、粤港澳大湾区の統合につながる可能性が高いものの、対象が限られることを踏まえると、目先の市場の反応は限定的になるとの見方を示した。
2017年7月に始まった北行き債券通は、海外投資家による中国債券市場への投資の主要な経路になっている。
債券通の運営主体によると、同制度を通じた売買代金は8月に前年同期を35%上回る1日平均263億元(40億9000万ドル)に達した。