[フランクフルト/ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が29日発表した10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比4.1%上昇と、13年ぶりの高い伸びを記録した。一方、第3・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は前期比2.2%増で予想を上回り、1年ぶりの大幅増加。夏の間経済活動が活発化したことを示した。
HICPの市場予想は3.7%上昇。9月は3.4%上昇だった。
エネルギー価格の上昇や増税に加え、供給制約で価格圧力が高まったことが背景。
10月の上昇率は2008年7月以来の高水準。HICPが導入された1997年以降で最高の水準に並んだ。
エネルギー価格は前年比23%上昇。サービス価格は2.1%上昇した。
HICP上昇率は、欧州中央銀行(ECB)の目標の2倍以上。アナリストやECBは、来年にはインフレ率が鈍化すると予想しているが、ECBの以前の予測ほど急ピッチには鈍化しない兆候が出ている。
10月は、食品とエネルギーを除くコアインフレ率と、さらにアルコールとたばこも除いたインフレ率も、ともに1.9%から2.1%に加速。ECBの目標を上回った。
<成長もインフレも転換点に近づく>
成長もインフレも転換点に近づいている可能性がある。供給の制約問題や人手不足、新型コロナウイルスの感染者再拡大を受け、ロックダウン後に活発になっていた経済には陰りが見え始めた。
ECBが29日公表した調査結果によると、調査対象の企業の30%以上は、供給制約と原材料価格の上昇が1年以上続くと予想。30%弱は6─12カ月続くと予想した。
企業は「求職者が不足」しているとも回答。人々が職業・居住地・ライフスタイルを変えており、賃金上昇につながる可能性が高いという。
キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ケニングハム氏は、サプライチェーンの寸断や世界需要の減速、人手不足が生産に悪影響を及ぼし、第4・四半期に成長がかなり減速するとの見方を示した。