[東京 17日 ロイター] - 岸田文雄首相は17日の記者会見で、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」に関し、17道府県の期限を3月6日まで延長する一方、感染状況が落ち着いてきた5県について20日の期限通りに解除する方針を示した。経済界などから批判の声が出ている水際対策については、3月から段階的に緩和していくことを表明した。
重点措置を延長するのは20日に期限が迫っていた北海道、青森、福島、茨城、栃木、石川、長野、静岡、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡、佐賀、鹿児島の16道府県と、27日が期限の和歌山県。18日の基本的対処方針分科会に諮り、了承を得られれば、対策本部で正式に決める。
岸田首相は、感染第6波の出口に向かって歩みを開始するため、感染状況が落ち着いてきた地域は重点措置を解除すると説明。まず山形、島根、山口、大分、沖縄の5県の措置を解除すると述べた。さらに措置を延長する地域についても、状況を見極めた上で「3月6日を待たずに解除することもあり得る」との見解を示した。
病床確保やワクチン接種の推進など国内の態勢を整備することができたとし、3月から水際対策を緩和することも表明した。一定の条件を満たしている入国者は原則7日間の待機期間を3日に短縮、もしくは免除する。外国人は観光目的以外の新規入国者に限って認めるほか、1日当たりの入国者数を3500人から5000人に引き上げる。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類を引き下げる方向で見直すことについては、感染拡大の懸念が残る中、このタイミングでは「現実的ではない」との認識を示した。
<ウクライナ情勢、予断を許さない状況>
ウクライナ情勢に関して首相は、予断を許さない状況であり、邦人保護に全力をあげると述べた。日本として緊張緩和に向けた粘り強い外交努力を続け、主要7カ国(G7)をはじめとする国際社会と連携して適切に対応していくと語った。
記者会見後に実施するロシアのプーチン大統領との電話会談では、力による現状変更は決して認めることはできないという考え方のもと、各国の外交努力に応えてもらうよう働きかけたいと語った。
<原油高、具体的な対策を用意>
足元で原油をはじめとする原材料価格が上昇し、様々な商品の価格が値上がりしている。首相は、日本経済や国民生活に大きな影響が出る重大な課題だとした。現在、松野博一官房長官が中心となってこれまでの原油高騰対策の効果検証と、これから何が必要なのか議論を進めていると説明した。首相は「状況を見つめながら具体的な対策を用意していきたい」と語った。
(杉山健太郎)