[1日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は1日、連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制に向け今年7回の25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施する必要があるとの見方を改めて示した。
ただ、エバンズ総裁はこうした見方が変わる可能性もあると指摘。プレーリー・ステート・カレッジ財団向けの講演原稿で「現在直面している多くの不確実性を踏まえると、事態の展開次第で見解を変えざるを得なくなる可能性があることは十分に承知している」と述べた。
エバンズ総裁のこの日の講演内容は、3月24日にデトロイト地域商工会議所で行った講演とほぼ同一。同講演では、インフレ高進がインフレ期待に組み込まれ、それを取り除くのがさらに難しくなる前に、FRBは今年から来年にかけて利上げを行う必要があるとし、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定は年内に見込まれる複数回の利上げの「始まり」だと述べていた。
FRBは3月のFOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を今年7回、来年3回引き上げるとの見通しを表明。ただ同FOMC以降、労働市場が一段と引き締まり、インフレがさらに上昇していることが経済指標で示されており、政策担当者から積極的な対応を示唆する発言が相次いでいる。
エバンズ総裁はこの日の講演で、今後、より多くの情報が入手される中「必要に応じて政策を調整していく用意がある」と述べた。
講演後、記者団に対し、来年3月までに政策金利を2.5%弱の「中立」水準まで引き上げればFRBがインフレの鈍化ペースに応じて政策調整を行う「選択肢」を確保できると指摘。一方、複数回の50bpの利上げを伴って政策金利を12月までに中立水準に引き上げることについては、想定より早期に中立水準に達したことで利上げを一段と加速することが可能との見方をしなければ大きなリスクはないとした。
利上げを迅速に行うには、最終的にどの程度まで利上げが必要かを「伝えることに重きを置く」ことになるとし、「語るべきことは多い」とした。
また、2週間前の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された、年末時点で1.75─2.00%という金利見通しがなぜ急に新鮮味に欠けるように見えるのか理解できないと言及。この金利見通しに沿った利上げペースは、何がインフレ圧力になっているのかを理解し、サプライチェーン(供給網)を巡る問題が想定通り解消されて物価上昇の鈍化につながるかどうかを見極めるための「選択肢」をFRBに与えるとした。