[シドニー 8日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は8日、半期に一度の金融安定報告を公表した。借り手と貸し手は、住宅ローン返済額を増加させ、住宅価格に打撃となり得る金利上昇に備える必要があると指摘した。
金融システムは健全で、銀行の資本は充実しているほか、家計は住宅ローンに関し近年かなりのバッファーを築いたと強調した。
ただ、所得に対する家計債務の割合は過去最高に近い水準にあり、借り入れコスト上昇の影響を受けやすくなっているとした。
中銀は「融資基準が低下せず、借り入れ・貸し出し判断が金利上昇や潜在的な住宅価格下落、実質所得減少に対し耐性を持つことが重要」との見方を示した。
中銀は今週、金融政策を巡る「忍耐強く」という文言を削除し、2010年以来となる利上げに道を開いた。
金融市場は、現在0.1%の政策金利が6月に0.25%に引き上げられ、今年末までに1.75%、来年終盤までには3.0%に達すると予想している。
中銀の試算によると、住宅ローン金利が200ベーシスポイント(bp)上昇した場合、金利上昇がない場合と比べて実質住宅価格が2年で15%押し下げられる可能性がある。また、債務返済比率が30%を超える借り手の割合は約2割にほぼ倍増するという。
債務対所得比率(DTI)が6を上回り、比較的高リスクとされる新規住宅ローンの割合が25%前後に膨らんでいることにも警鐘を鳴らした。
銀行セクターについては、総じて潤沢な資本があり、流動性資産の保有が規制水準を優に上回っているとした。
ここ数年の住宅価格上昇を受け、家計は住宅のエクイティ(正味価値)がかなり高まっていると指摘。評価額がローン残高を下回るネガティブ・エクイティ状態の比率は0.25%と、20年の2.25%から低下していると試算した。
また、住宅ローンの不良債権は0.9%にとどまっており、金融ストレスの指標は非常に低い水準にあるとした。