執筆:Noreen Burke
Investing.com -- 米連邦準備制度理事会(FRB)が水曜日に開催するFOMC会合で50bpsの利上げを実施することはほぼ確実であり、投資家は高止まりするインフレ率に対応するための次のステップについてさらなる洞察を待っていることだろう。また、労働市場の安定化はFRBのもう一つの重要な使命であり、金曜日の米雇用統計では4月の雇用の伸びが堅調であったことが示されると予想される。投資家は、4月の株式市場のパフォーマンスが過去2年以上にわたって最悪であったことを考慮しながら、企業決算の内容を見定める展開となる。一方、イングランド銀行はFRBの翌日、木曜日に4回目の利上げを実施すると予想されている。週を始めるにあたって知っておくべきことは以下の通りだ。
FRBによる利上げ
FRBによる50bpsの利上げは既に織り込み済みで、投資家はFOMC会合後の記者会見でパウエル議長による会見を通じて今後の金利動向、約9兆ドルのバランス・シートの縮小計画、インフレのピーク時期に関する見解を示すシグナルに注目する。
多くの投資家やアナリストは、FRBが過去40年間で最悪のインフレ率を抑制しようとする中で、タカ派的なサプライズが続くと考えており、積極的な金融引き締めが景気後退を誘発するとの懸念を強めている。
現在のインフレ・ペースがどの程度続くかについてのFRBの政策立案者の見方は、今後の金融引き締め計画にとって極めて重要であろう。
State Streetのチーフ投資ストラテジスト、Michael Arone氏はロイターに対し、「FRBが引き続き高いレベルのインフレ率を予想し、将来的にそれが緩やかになるとは思えない場合、投資家の懸念材料になるだろう」と述べた。
「FRBが利上げと金融引き締めを続けることを意味し、市場はそれを期待しているが、もしかしたらさらに積極的になるかもしれない。」
雇用統計
金曜日に発表される非農業部門雇用者数では、4月に38万人の雇用を増やし、失業率は3.5%に下がると予想されている。平均時給も堅調な伸びを続けるとみられる。
先週木曜日に米国経済が第1四半期に予想外に縮小したことを示すデータを受けて、雇用統計は発表される。マイナスのGDPは主に、輸入が急増したことによる貿易赤字の拡大と、在庫蓄積のペースが鈍化したことに起因している。内需は堅調に推移し、景気後退の懸念は相当程度払拭されている。
しかし、ウクライナ戦争が経済に与える影響への懸念、米国債利回りの上昇、中国における新たなコ ロナウィルス感染によるグローバルなサプライ・チェーンの混乱の継続、FRBによるより積極的な金融引き締めなどにより、景気の先行きは依然不透明な状況にある。
企業決算
決算シーズンが続き、投資家はPfizer (NYSE:PFE)、Starbucks (NASDAQ:SBUX)、Airbnb Inc (NASDAQ:ABNB)、ConocoPhillips (NYSE:COP)の決算内容に注目することになりそうだ。
S&P500が2020年初めのコロナウイルスによるパンデミック発生以来、4月は最大の月次下落率となり、ハイテク株比率の高いNasdaqは2008年の金融危機以来最大の月間下落率を記録した。
また、ナスダック市場のハイテク株は2008年の金融危機以来最大の下げ幅となっている。
S&P500は3.6%下落し、2020年6月以来最大の下げ幅となった。(NASDAQ:AMZN)の期待外れの決算内容とガイダンスを受けて、株価は14%下落している。
経済指標
FOMC会合、企業決算、4月の雇用統計のほか、今週の経済カレンダーにはいくつかの主要経済指標の発表が記載されている。月曜日と水曜日にはISM製造業とサービス業のPMIがそれぞれ発表される。この指標が堅調であれば、第2四半期に経済が拡大し、FRBの引き締め計画が軌道に乗るとの見方が強まるだろう。
火曜日にはJOLTS求人数の報告があり、その翌日にはADP非農業部門雇用者数の数値が発表される。労働省は金曜日の非農業部門雇用者数に先立ち、木曜日に初期失業保険申請件数の週報を発表する予定だ。
イングランド銀行の政策金利決定
イングランド銀行は、FRBの翌日に行われる会合で、1997年以来となる4回連続の利上げを実施するとの見方が強い。
また、BOEのAndrew Bailey総裁は、7%という目標の3倍以上のインフレ抑制と景気後退の回避の間で「非常に厳しい一線」を踏んでいると述べている。
25bpsの引き上げで政策金利を1%にすることは、イングランド銀行が保有する債券の積極的な売却を開始する前提条件となる。
積極的な債券売却は金融環境を引き締めるが、低迷する経済に打撃を与える可能性があり、主要な中央銀行はまだこのプロセスを開始していない。
--ロイター通信の報道をもとに当記事を執筆