[マニラ 14日 ロイター] - フィリピン中央銀行は14日、政策金利である翌日物借入金利を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.25%とした。インフレ高進を受け、8月18日の金融政策決定会合を待たず追加利上げに踏み切り、インフレ圧力を抑制するためにさらなる政策措置を取る用意があることも示唆した。
フィリピン中銀は5月と6月に2会合連続で25bpずつ利上げした。今回の予定外の利上げは、それを大幅に上回る規模となった。
中銀は翌日物預金金利と翌日物貸出金利も75bp引き上げ、それぞれ2.75%、3.75%とした。
通貨ペソは、今週に入りドルに対して最安値を記録していたが、中銀発表を受けて持ち直した。直近では0.4%高となっている。
今月初めに発表された6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.1%上昇と約4年ぶりの高い伸び率。中銀の目標レンジ(2─4%)を3カ月連続で上回った。
フェイスブックを通じて緊急利上げを発表したメダラ中銀総裁は「政策金利を新たに引き上げるにあたり、金融政策委員会は、政策正常化を進める中、持続的かつ広範な物価上昇圧力の兆候が政策の一段の大幅な引き締めを正当化すると認識した」と説明。「物価安定という責務に従い、中期的にインフレを目標と一致した経路に導くために、さらに必要な行動を取る」用意があると述べた。
総裁は8月18日の金融政策決定会合を予定通り開催すると発言。政策は引き続きデータ次第だと述べた。
ジョクノ財務相は、今年初めに経済活動が拡大したことを踏まえると同国経済は引き続き堅調で、75bpの利上げを吸収できるとの認識を示した。
ダキラ中銀副総裁は、マルコス政権が設定した今年の成長率目標(6.5─7.5%)はなお達成可能で、8月9日に発表される第2・四半期国内総生産(GDP)は「非常に強く、第1・四半期よりも強い可能性もある」と述べた。
リサール・コマーシャル・バンキングのエコノミストは、中銀の措置はペソ相場を支援するか、少なくとも安定させることを意図していると指摘。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ対応でさらに金利を引き上げれば、フィリピン中銀は追加利上げを行う可能性があると述べた。
この日は、物価高騰を背景にシンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)も急きょ金融政策を見直し引き締めを決定した。
マレーシア中央銀行は先週、2会合連続で利上げを決定。インドネシア中央銀行総裁は8日のインタビューで、将来のインフレ圧力抑制に向け「早ければ今年7─9月期に利上げすることになる」と表明した。ただ、「積極的な利上げ姿勢は取らない」とも言明した。