[ワシントン 26日 ロイター] - 米商務省が26日発表した7月の個人消費支出(PCE)は前月より0.1%増え、市場予想の0.4%増を下回った。インフレはかなり緩和され、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを縮小する余地が生まれる可能性がある。
6月は前回発表の1.1%増から1.0%増へやや下方改定された。
7月のPCE価格指数は前月より0.1%低下し、6月の1.0%上昇から下げに転じた。低下は2020年4月以降で初めて。7月の前年同月比は6.3%上昇し、伸び率は6月の6.8%から縮小。今年1月以降で最も低い伸びとなった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は7月に前月比0.1%上昇。伸び率は6月の0.6%から縮小し、21年2月以来最も低い伸びとなった。7月の前年同月比は4.6%上昇。伸びは6月の4.8%から鈍化し、9カ月ぶりの低水準となった。
衣料品、航空旅行や宿泊施設などのサービスの価格の上昇率が7月に縮小し、インフレを抑制した。
キャピタル・エコノミクス(ニューヨーク)のシニア・エコノミスト、マイケル・ピアース氏は「ガソリン価格下落の加速が見込まれ、コアインフレ率低下の兆候も見られていることから、FRBが9月の会合で利上げ幅を0.50%ポイントに縮小する可能性がある」としている。
米国自動車協会(AAA)によると、1ガロン当たりの平均ガソリン価格は6月半ばに5ドルを超えて過去最高を記録したが、7月最終週に約4.27ドルまで下がった。このため、他の支出が可能になったとみられる。
自動車、衣料品、娯楽用品、家具、住宅、光熱費などに振り向ける支出が増加。ただ、ガソリンスタンドでの支出が減少したため、モノへの支出は全体として0.2%減少した。前月は1.5%増加していた。
サービス支出は外食、娯楽への支出が緩やかに増加したことで、0.3%増加。前月は0.7%増加していた。
個人所得は0.2%増。賃金以外の所得が減少したことで、伸びが抑制された。賃金は0.8%増と、伸びは前月の0.6%から加速。特に物価上昇か継続的に収束しているときに、労働市場の引き締まりを反映して賃金が力強く伸びていることは、消費の下支えになる可能性がある。
貯蓄率は5.0%と、前月から横ばいだった。
2022年第2・四半期の個人消費のペースが緩やかだったため、供給網の問題で急減していた在庫蓄積の影響が緩和された。第2・四半期の国内総生産(GDP)は年率換算で前期比0.6%減り、第1・四半期には1.6%減だった。
ただ、第3・四半期は、貿易赤字の縮小などによりプラス成長を回復する見通し。ムーディーズ・アナリティックスのエコノミスト、マット・コリアー氏は「米経済はリセッション(景気後退)には陥らないというのが基本的な見通しだ」と述べた。