[ロンドン 22日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は22日、政策金利を1.75%から0.5%ポイント引き上げ2.25%とすると発表した。英経済がリセッション(景気後退)に向かっているがインフレ抑制を優先し。引き続き必要に応じて「力強く行動」する方針を示した。
0.5%利上げは8月に続き2会合連続。ロイターのエコノミスト調査でも0.5%利上げが予想されていたが、金融市場では0.75%利上げ予想もあった。
中銀は第3・四半期の国内総生産(GDP)成長率見通しを前期比マイナス0.1%とし、8月初めに示した予想のプラス0.4%から下方修正した。今月初めに死去した女王エリザベス2世の国葬に関連する臨時の祝日があったことが一因とみられる。第2・四半期から2期連続のマイナス成長で定義上の景気後退となる。
しかし「見通しが、需要の強まりなど、より持続的なインフレ圧力を示唆するなら、必要に応じて力強く行動する」とのスタンスを維持した。
0.5%利上げは5対4で決定。ラムスデン副総裁、ハスケル委員、マン委員の3人が0.75%利上げを、ディングラ委員は0.25%利上げを主張した。
一方、8380億ポンドの保有国債を今後1年で満期償還と売却を通じて1000億ポンド削減することは全会一致で決定した。
インフレについては、ピークが10月で11%弱とし、先月の予想(13.3%)から引き下げた。11月から数カ月は10%を上回り、その後低下すると予想した。
8月の消費者物価指数(CPI)は前年比9.9%上昇で、40年ぶりの高水準だった7月(10.1%)から約1年ぶりに減速した。
9月に発足したトラス政権は、エネルギー価格の上限設定や減税など財政拡張路線を取る。
英中銀は金融政策への影響を11月の会合で評価すると説明した。ただエネルギー価格の上限設定は短期的にインフレを抑えられても、中期的に物価圧力を高めると指摘した。
ベイリー中銀総裁は、インフレ率が中銀目標を大きく超えていることを説明するクワーテング財務相宛ての書簡で、ロシアによるウクライナ侵攻が主因としながらも、英国の労働市場が予想外に引き締まっていることも背景にあるとの見方を示した。
クワーテング財務相は、中銀が2%に設定しているインフレ目標を全面的に支持していると表明。政府の成長支援策により、物価上昇を伴わない景気拡大余地が拡大すると述べた。政府は23日に財政政策の詳細を発表する。