[ロンドン 10日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は10日、国債市場安定化策の長期国債買い入れ措置が今週末に終了を迎えるのを前に、買い入れの上限を倍増するなど、市場が再び混乱するのを防ぐ措置を発表した。
政府が打ち出した大規模減税計画で英国債・ポンドが急落したことを受け、英中銀は9月28日から10月14日までの間、長期国債を買い入れると発表した。
しかし買い入れ額はこれまでのところ最低限度を大きく下回っている。英中銀は10日、買い入れスキームを円滑に終了させる措置を講じると表明した。
これまでの買い取り額は、最大400億ポンド相当のオファーに対し50億ポンドにとどまる。
英中銀は、未使用の買い入れ枠を、残り5回の入札で50億ポンドという現行の上限を引き上げるために投入する用意があると述した。
入札の最大規模は毎朝9時(日本時間午後5時)に発表される。
中銀はまた、市場混乱に直面した顧客資金の流動性圧力を緩和するため、一時的な拡大担保レポを導入すると発表した。このオペでは適格担保の要件を緩和して社債なども対象に含める。来週以降も実施する。
さらに、毎週火曜日に長期レポを実施し、年金基金で多用されている運用手法のLDI(Liability Driven Investment)に起因する流動性問題を緩和する用意があると述べた。
関係筋によると、金融行動監視機構(FCA)は、英国債と関連資産の取引プラットフォームに対し、市場状況の著しい悪化についてリアルタイムで報告するよう求めた。
クワーテング財務相は10日、中期財政計画の発表を11月23日から10月31日に前倒しした。これによりイングランド銀は11月3日の次回金利決定会合前に、政府の税制・歳出計画を把握できる。
INGのストラテジストは、これまで買い入れの利用が少なかったのは、年金基金によるリスク削減が限定的なことを示唆しているとし、中銀はより一段の支援が可能なことを示したかったのだろうと指摘。「英国債市場の機能は依然損なわれている。ボラティリティーが再び上昇するようなことがあれば、中銀が介入する可能性がある」と述べた。
今日の発表を受け、英20・30年債利回りは0.25%ポイント程度急上昇した。