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経済に「嵐」の懸念、引き締めへの転換リスク大きい=安達日銀委員

発行済 2022-10-19 11:21
更新済 2022-10-19 11:54
© Reuters.     日銀の安達誠司審議委員は19日、富山県金融経済懇談会であいさつし、経済情勢のリスクが従来より下方に厚くなっている可能性があると指摘。「『嵐が発生する』リスクが無視でき

[富山市 19日 ロイター] - 日銀の安達誠司審議委員は19日、富山県金融経済懇談会であいさつし、経済情勢のリスクが従来より下方に厚くなっている可能性があると指摘。「『嵐が発生する』リスクが無視できないときに金融政策を引き締め方向に転換することはリスクが大きい」と述べた。まだ2%の物価目標の実現には確信が持てないとし「緩和的な金融政策を続けることが現時点で最良の選択だ」と話した。

米国、欧州、中国といった主要国・地域に経済の下振れリスクがあり、それぞれのリスクは日本経済へのインパクトも大きいと警戒感を示した。

米国の金融引き締めがさらに進展する局面で資産価格の調整が生じた場合、「景気を下押しするリスクにも注意が必要だ」とした。「グローバルな資産価格の連動性を考慮すると、世界規模で資産価格の調整が起こる可能性にも注意が必要だ」とも述べた。

英国での市場混乱に触れ「英国経済やグローバルな金融資本市場に及ぼす影響などを注視していく必要がある」とした。

その上で、安達委員は金融政策の修正は「時期尚早」と強調した。金融緩和を継続する効果として、輸出企業の業績が大企業を中心に上振れており、賃上げの原資になることなどを挙げる一方、金融政策を引き締め方向に修正することは「マイナスの効果が大きい」と述べた。住宅投資や設備投資への需要が利上げで悪影響を受け、その悪影響が蓄積すれば「日本が再度デフレに陥る可能性が高まることも無視できないリスク」だとした。

外国為替市場では急速にドル高・円安が進んでいる。安達委員は「為替相場は金融政策が直接コントロールする対象ではない」と改めて指摘した。短期的な為替変動に対し、物価目標の達成を後回しにして金融政策で対応すれば「かえって先行きの政策運営に関する不透明感を高め、長い目でみれば日本経済にとっても好ましくない」と述べた。

グローバルな金融・経済の下方リスクが厚みを増す中で「今後の帰趨が為替相場に及ぼす影響については、不確実性がきわめて高い」とも語った。

© Reuters.     日銀の安達誠司審議委員は19日、富山県金融経済懇談会であいさつし、経済情勢のリスクが従来より下方に厚くなっている可能性があると指摘。「『嵐が発生する』リスクが無視できないときに金融政策を引き締め方向に転換することはリスクが大きい」と述べた。資料写真、日銀本店外観、2009年3月撮影(2022年 ロイター/Yuriko Nakao)

物価動向を巡り、安達委員は「私自身がこれまで考えていたよりも早いペースで物価が上昇している」と述べる一方、物価目標の安定的な実現には「確信が持てない」とした。

物価目標の達成にはサービス価格を中心に価格改定の頻度が少ない「粘着的な消費者物価」の動きが重要になると指摘。この粘着的な消費者物価がより高い水準で安定的に推移するためには、賃金が持続的に上昇し、中長期のインフレ予想が上昇した状態で安定的に推移することが重要になると説明した。

(和田崇彦)

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