[ロンドン 19日 ロイター] - 英国のブレイバーマン内相が19日、辞任した。大型減税などを柱とする経済対策の撤回に追い込まれ、逆風が強まっているトラス首相を暗に批判した形での辞任となる。首相府によると、後任にはシャップス元運輸相が起用された。
ブレイバーマン氏の辞任は政府規則の「技術的な」違反としているが、14日に解任されたクワーテング元財務相に続き、トラス首相は主要閣僚2人を失ったことになる。
ブレイバーマン氏は、トラス首相に辞表を提出したことをツイッターで明らかにし「過ちを犯したため責任を取って辞任する」と投稿。個人の電子メールアドレスから公的文書を送付したことが、政府の規則に抵触するとした。
また、現在の政府の方向性を懸念しているとも表明。選挙公約を守ろうとする姿勢に「深刻な懸念」があると述べた。
英ガーディアン紙は19日、関係者の話として、内相解任をハント新財務相が「指示した」と報じていた。
新内相となるシャップス氏は、英政府が「非常に困難な時期にあることは明らかだ」と指摘。ただ、大規模減税などを含むいわゆる「ミニ予算」に関する問題を解決するためにハント新財務相は「素晴らしい仕事をした」と述べた。
一方、英保守党のウィリアム・ラッグ議員は19日、党首の選出や交代を規定する「1922年委員会」の委員長に対し、トラス首相に対する不信任の書簡を提出したと発表した。
英政府は議員に対し、19日に行われるトラス首相のフラッキング(水圧破砕法)に関する政策に対する投票を信任投票とみなし、政府方針に反した議員に対しては保守党から除名すると発表。ラッグ議員はフラッキングに関する政府方針には反対だが、保守党から除名されれば不信任の書簡が無効になるため、政府方針に賛成するという。
野党・労働党が提案したフラッキングによるシェールガス採掘規制の導入に関する採決は賛成230、反対326で否決され、政府側が勝利。ただ、一部の野党議員からは保守党議員が一部議員に対し政府方針に賛同するよう強要したとの声が聞かれた一方、40人の保守党議員は出張や体調不良などを理由に採決に参加しなかったという。
フラッキング関連の採決で議会が混乱する中、英紙サンは保守党の党内規律を担当するウェンディー・モートン氏とクレイグ・ウィテカー氏が辞任したと報じた。ただ、首相府はその後、両氏の辞任を否定している。
関係者によると、トラス首相は19日に予定されていた視察を取り止めたという。公務のためとしているが詳細は不明。
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