[ロンドン 20日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)のブロードベント副総裁は20日、トラス新政権の財政政策をもとに投資家が織り込んでいるような大幅利上げは経済に重大な打撃を与えると語った。
ロンドンのインペリアル・カレッジで行った講演で、政府のエネルギー価格高騰対策がハント新財務相によって大幅に縮小された後、中期的にインフレ圧力がどの程度高まるかは現時点で不明だと発言。「中銀のMPC(金融政策委員会)は、財政政策に関するニュースに比較的迅速に反応する可能性がある」と述べた。
「政策金利が現在金融市場で織り込まれているほど大幅に上昇しなければならないかどうかは、まだ分からない」とした。
ブロードベント氏は、英国の政策金利が5.25%前後でピークに達するとの金融市場の予想について「MPCの予想との差がMPCの設立以来、群を抜いて大きい」と指摘。
「仮に政策金利が本当に5.25%に達した場合、妥当な政策乗数を考慮すると、利上げサイクル全体の国内総生産(GDP)への累積影響は5%弱となり、そのうち4分の1程度が既に実現したことになる」と述べた。
講演を受け、市場では11月3日の英中銀による1%ポイント利上げ期待が一段と後退、英国債先物価格は上昇した。金利先物市場が織り込む1%ポイント利上げの確率は17%となり、講演前の25%から低下した。トラス政権が減税計画を撤回するまでは、1%ポイントの利上げはほぼ確実とみられていた。