[東京 9日 ロイター] - 後藤茂之経済再生相は9日午後、報道各社とのグループインタビューで、欧米の金融引き締めなどで世界的に景気が後退する可能性があると指摘し、総合経済対策でも経済危機に備えて予備費で4兆7000億円を計上していると説明した。一方、2022年度3次補正予算の編成は考えていないと述べた。
<円安通じた価格上昇、国民生活痛めている>
後藤再生相は、景気の現状について「消費を中心に緩やかに持ち直しており、世界全体も緩やかな持ち直しが続いている」と指摘した。一方で、先行きは「原材料価格上昇や、円安を通じたエネルギー・食料品の価格上昇の継続が国民生活を痛めており、欧米金融引き締めの継続による世界的な景気後退への懸念には十分注意する必要がある」と警戒感を示した。
経済対策では「世界的な景気後退懸念が高まる中、経済危機や国際情勢の変化に対する備えとして4.7兆円の予備費を計上しており、経済・物価の情勢、必要に応じて予備費も活用し、機動的・弾力的にに万全の体制を取る」とした上で、「したがって、現時点で第3補正は考えていない」と述べた。
政府は閣議決定した財政支出39兆円の経済対策のうち、「今後への備え」として予備費で4兆7000億円を計上した。
為替については、ファンダメンタルズに従った安定的な推移が好ましいと述べるとともに、円安はマイナスとプラスの両面があると指摘。「実質所得や消費への懸念が広がっているのは承知している」として、ガソリンなどエネルギー価格の激変緩和措置などで対応すると同時に、円安のプラス面を生かすべくインバウンド復活などを進めると語った。
2025年度の基礎的財政収支(PB)黒字化など財政健全化目標については、引き続き取り組みを進める姿勢を示した。
防衛力強化の具体的な財源に関しては、「政府の有識者会議で議論されている」と述べるにとどめた。