[パリ 22日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は22日、2023年の世界経済はリセッションを回避する見込みだが、エネルギー危機で欧州が最も大きな打撃を受けるとし、政策当局者はインフレ対応を最優先すべきと指摘した。
OECDは、世界経済の成長率が今年の3.1%から来年は2.2%に減速、24年には2.7%に加速すると予想。2022年の予測をわずかに上方修正した。「23年の世界経済は大幅に減速し、多くの国でインフレは鈍化するが依然高水準というのが中心シナリオ」という。
マティアス・コーマン事務総長は会見で「リセッションは予想していないが、顕著な低迷局面を見込む」と述べた。
世界的な景気後退の経済への影響は一様ではなく、ウクライナ戦争による企業活動への悪影響やエネルギー価格高騰で欧州が特に打撃を受けていると指摘。ユーロ圏の成長率は今年の3.3%から23年は0.5%に鈍化、24年は1.4%に回復すると予測。9月の前回の見通しの22年3.1%、23年0.3%から小幅上方修正した。
ドイツは来年は0.3%のマイナス成長を予想。9月はマイナス0.7%だった。
欧州でもロシアのエネルギーへの依存度が低いフランスは、来年の成長率は0.6%と予想。イタリアは0.2%とみられているが、四半期ではマイナスとなる可能性があるという。
金利上昇、物価上昇、信頼感の低下に直面する英国は、来年はマイナス0.4%の成長と予想。前回はプラス0.2%だった。
米国経済は、今年の1.8%から来年は0.5%に鈍化、24年は1.0%成長と予想している。前回は今年が1.5%、23年は0.5%。
中国は今年3.3%、23年4.6%、24年は4.1%とし、前回の22年3.2%、23年は4.7%から修正した。
インフレについては、金融引き締めの効果が表れ、エネルギー価格の圧力が緩和するに伴い緩和し、今年の9%超から24年までに5.1%に低下すると予想。
コーマン事務総長は「金融政策は、ほとんどの先進国、新興国の多くが一段の引き締めでインフレ期待を安定させる必要がある」と述べた。
多くの国は高インフレに対してエネルギー価格の上限設定、減税、補助金などで対応しているが、コストが高いため、今後は対象を絞った措置を講じる必要があるとの見方を示した。