<ロンドン株式市場> 小幅反発して取引を終えた。石油株や鉱業株が買われたのが相場を支えた。ただ、英国債利回りの上昇を嫌気した売りも出て、上げ幅は限られた。
亜鉛などの卑金属の価格上昇を背景に、FTSE350種鉱業株指数は2.20%上昇した。
原油価格の上げは一服したが、石油・ガス株指数は0.91%上昇した。
28日は英国債価格が大きく値下がりし、英30年債利回りが急上昇した。
HYCMのチーフ市場アナリスト、ジャイルズ・コグラン氏は「金利上昇観測がやや強まっているが、これは利回りの動きと一致している可能性が高い」と述べた。
英ポンドがドルに対して上昇したことも、相場を圧迫した。
利上げ長期化への懸念が部分的に投資家心理の重しとなり、住宅建設株指数は3.38%下落。配当落ちした住宅建設のバラット・デベロップメンツは7.6%下げた。
中型株で構成するFTSE250種指数は0.67%安。
年間配当目標を撤回した投資会社のデジタル9インフラストラクチャーが39.5%と急落し、下げを主導した。
その他の個別銘柄では、オンラインカジノの888ホールディングスが11.6%と大幅下落。第3・四半期の売上高が10%減少したことを受けて通期のコア利益が当初の予想を下回るとの見通しを示したことが嫌気された。
<欧州株式市場> 6営業日ぶりに反発して取引を終えた。資源株が買われて相場を押し上げた。ドイツの9月のインフレ率が予想を下回ったことも投資家心理を高めた。
ドイツの9月消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比4.3%上昇。伸びは8月の6.4%から鈍化した。市場予想の4.5%も下回った。
HSBCグローバル・リサーチのエコノミスト、Christian Fuertjes氏は「まだインフレとの戦いに勝利したわけではなく、ベース効果による追い風は急速に弱まるだろう」との見方を示した。
STOXX欧州600種資源株指数は2.18%上昇した。
石油・ガス株指数も0.65%上げた。米国の原油在庫が減り、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成するOPECプラスの減産による世界的な需給逼迫への懸念が高まって原油価格が上がったことが背景。
フランスのエネルギー大手トタルエナジーズは1.1%上昇し、過去最高を更新した。
イタリアの主要株価FTSE・MIB指数は序盤に下げたが、0.54%上昇で終えた。イタリア政府は27日、2023年と24年の経済成長率見通しを下方修正し、財政赤字は当初見通しより拡大するとした。
<ユーロ圏債券> ドイツ債利回りが12年ぶりの高水準を付けた。経済指標でインフレ鈍化が示されたものの、欧州中央銀行(ECB)が政策スタンスを緩和させるかもしれないとの期待には繋がらなかった。一方、独伊債利回り格差は約半年ぶりの高水準となった。
ドイツ連邦統計庁が28日発表した9月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比4.3%上昇した。伸びは前月の6.4%から鈍化し、ロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降で最低水準。ロイターがまとめた予想の4.5%も下回り、独経済を大きく圧迫してきた高インフレの収束が示唆された。
ウニクレディトの債券ストラテジスト、フランチェスコ・マリア・ディ・ベラ氏は「ドイツではインフレが緩和しているが、ECBのスタンスを軟化させるには不十分」と指摘。「主にベース効果による大幅な減速は予想済みだったが、原油価格が上昇を続け中銀のインフレとの戦いはまだ終わっていないとの懸念をあおった」と述べた。
スペインの9月の総合インフレ率は3.5%上昇。エネルギー価格が上昇した。
ドイツ10年債利回りは9.8ベーシスポイント(bp)上昇の2.93%。一時2.942%と2011年7月以来の高水準を付けた。1日の上昇幅としては7月上旬以来の大きさを記録した。
ディ・ベラ氏は「この勢いが続けばドイツ10年債利回りは3%台に突入する可能性がある」と述べた。
ドイツ2年債利回りは5.5bp上昇の3.286%。7月上旬には2008年以来の高水準となる3.393%を付けていた。
INGのマクロ経済リサーチ担当グローバルヘッド、カーステン・ブレゼスキ氏は「ドイツの総合インフレ率の鈍化の主因は逆ベース効果にある」と言及。「ドイツや他の多くの欧州諸国のデータは通常よりも多くの統計ノイズに囲まれており、ECBが額面通りに受け取ることを難しくしている」とした。
市場ではECBが年末までに0.25%ポイントの利上げを実施する確率を約25%としている。この確率は前日からほぼ変わっていない。
欧州連合(EU)欧州委員会が28日発表した9月のユーロ圏景況感指数は93.3と、5カ月連続の低下となった。サービス業、小売業、消費者のマインドが悪化した半面、製造業は8カ月ぶりに改善した。
イタリア10年債利回りは16bp上昇の4.94%。一時約11年ぶりの高水準となる4.96%を記録した。1日の上昇幅としては7月上旬以来の大きさだった。
独伊10年債の利回り格差は196bp。一時199.80bpと6カ月超ぶりの高水準を記録した。
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.0576 1.0507
ドル/円 149.17 149.31
ユーロ/円 157.78 156.91
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 448.50 +1.59 +0.36 446.91
FTSEユーロファースト300種 1779.42 +7.20 +0.41 1772.22
ユーロSTOXX50種 4161.56 +29.88 +0.72 4131.68
FTSE100種 7601.85 +8.63 +0.11 7593.22
クセトラDAX 15323.50 +106.05 +0.70 15217.45
CAC40種 7116.24 +44.45 +0.63 7071.79
<金現物> 午後 コード
値決め 1873.55
<金利・債券>
米東部時間14時1分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 96.04 0.00 96.04
独連邦債2年物 104.79 -0.16 104.95
独連邦債5年物 114.90 -0.72 115.62
独連邦債10年物 127.09 -1.55 128.64
独連邦債30年物 119.54 -2.86 122.40
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 3.281 +0.059 3.231
独連邦債5年物 2.888 +0.104 2.794
独連邦債10年物 2.934 +0.115 2.829
独連邦債30年物 3.093 +0.079 3.026