[5日 ロイター] - ユーロネクスト・パリに上場するフランス鉄道車両大手アルストムの終値が5日、前日比37.5%急落し13.3ユーロ(14ドル相当)を付けた。値下がり率は20年超ぶりの大きさで、時価総額約30億ユーロ(31億6000万ドル)が吹き飛んだ。
同社は前日、高速鉄道TGVの受注遅れと増産を背景に今年のフリーキャッシュフロー(FCF)予想を下方修正。市場では、金利上昇傾向に伴う同社の債務水準への懸念が一段と強まった。
アルストムによると、通年で5億―7億5000万ユーロのキャッシュ・アウト・フローが発生する見通し。今年前半に限った暫定の見通しでは11億5000万ユーロに及ぶ。米金融サービス会社ジェフリーズによると、この半期見通しは市場コンセンサスの1億5200万ユーロを大幅に上回った。
ドイツ銀行のアナリストは、FCF予想の下方修正が「アルストム経営陣の信頼性には大きな打撃」と判断。通期決算の純負債は従来見込んでいた水準よりも約10億ユーロ多い約30億ユーロに膨らむとの見方を示した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、アルストムの債務不履行リスクに対する保証コストは昨年11月以来の高水準に上昇。最大の発行済み債券(表面利率固定型、償還2029年)は価格が下落し、トレードウェブでの利回りは過去最高の4.917%となった。
トレーダーらは、アルストムが投資適格の格付けを失いかねないとの懸念の声を上げ、投資家は同社の経営陣に疑問を抱く可能性があると指摘した。