[18日 ロイター] - 数百人が死亡したパレスチナ自治区ガザの病院に対する攻撃を受け、中東各地で反イスラエル抗議活動が拡大している。一部は暴徒化し、治安当局との衝突による死者も出た。
パレスチナ当局は18日、イスラエル軍がヨルダン川西岸のラマラ近郊で10代のパレスチナ人2人を射殺したと発表した。住民によると2人はイスラエルに抗議してタイヤに火をつけようとしていたという。
レバノンでは、ベイルート北部の米大使館付近での抗議行動がエスカレートし、治安部隊が催涙ガスと放水銃で鎮圧に乗り出した。
イランでは、全土で政府主催のデモ行進が行われ、デモ隊は「アメリカに死を」「イスラエルに死を」と書かれた横断幕を掲げて行進した。イランはパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの後ろ盾であり、イスラエルと長年にわたり対立関係にある。
イラクでは、イランが支援するシーア派民兵グループの支持者約300人が、バグダッド中心部の旧米軍管理区域(グリーンゾーン)に通じる橋の近くで抗議活動を行った。
ヨルダンの首都アンマンでは、数千人がイスラエル大使館へのデモ行進を計画していたが、機動隊が押し返した。警察によると、デモ隊はイスラエル大使館付近の敷地に放火。この衝突で警官数人が負傷した。
イエメンでは、首都サヌアで数千人がデモ行進した。フーシ派の幹部はイスラエルの嘘と憎悪を非難し、戦意をむき出しにした。
デモは中東地域だけに収まらず、米首都ワシントンでもユダヤ系の平和活動団体がバイデン政権と連邦議会に対し停戦を求めて声を上げた。
200人ほどのデモ参加者の多くは「平和へのユダヤ人の声(Jewish Voice for Peace)」という団体のメンバー。「全世界が注視している」と即時停戦を訴えた。
中東情勢の悪化を受け、各国は国民に対し警戒を呼び掛けている。
サウジアラビアは自国民に対し、レバノンからの退避を勧告。レバノン南部国境付近で武装組織ヒズボラがイスラエル軍と銃撃戦を繰り広げている状況を理由に挙げた。
フランス外務省も、自国民にレバノンへの渡航を控えるよう勧告していると述べた。
このほか、欧州各地で治安への懸念が高まっている。イタリアは、特に混雑した場所での監視や、攻撃の標的になりそうな場所の警備を強化した。