■業績動向
1. 2018年3月期第3四半期の業績概要
Jトラスト (T:8508)では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。
2018年3月期第3四半期の営業利益は2,691百万円と、前年同期比64.7%の減益に終わった。
これは、国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業の主力事業が順調に成長し、利益を計上したものの、投資事業でGL関連の損失(転換社債の新株予約権部分の評価損計上、転換社債取消による金銭債権に対して貸倒引当金を計上、保有株式についても減損処理を実施など)を計上したことが響いた。
主力の金融3事業では増益を維持したことで、グループ全体の営業利益を確保した。
2. セグメント別の動向
セグメント別では、2018年3月期第3四半期累計の営業収益は国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業は増収であったが、投資事業と非金融事業は減収に終わった。
営業利益では、韓国金融事業や東南アジア金融事業で大幅な増益を記録したが、国内金融事業は減益、投資事業は大幅な損失を計上した。
また、東南アジア金融事業が黒字に転換し、収益貢献を始めた。
国内金融事業では、子会社の日本保証が不動産関連の保証事業に注力した結果、債務保証残高の合計は128,888百万円と前年同期比68.9%増となった。
また、日本保証、パルティール債権回収による債権回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、買取債権残高は12,570百万円(同4.3%増)となった。
以上から、国内金融事業の営業収益は7,117百万円(同0.8%増)に拡大した。
一方、セグメント利益は前期に計上した一過性の不動産売却益がなくなり3,495百万円(同14.4%減)となったものの、セグメント中最大の利益を稼いだ。
韓国金融事業では、JT親愛貯蓄銀行及びJT貯蓄銀行の貸出残高は273,477百万円(前年同期比26.1%増)と順調に拡大した。
この結果、韓国金融事業の営業収益は26,790百万円(同28.6%増)、セグメント利益は3,097百万円(同61.7%増)となり、国内金融事業に次ぐ利益を上げた。
東南アジア金融事業では、長らくインドネシア預金保険機構の管理下にあった銀行業のJトラスト銀行インドネシアにおいて再生に向けた事業構造改革に取り組んだ結果、貸出残高は95,180百万円(前年同期比1.5%減)となった。
一方、債権回収事業のJトラストインベストメンツインドネシアでは回収が順調に進んだ。
以上の結果、東南アジア金融事業の営業収益は10,583百万円(同1.6%増)、セグメント利益は1,105百万円(前年同期は3,481百万円の損失)と大幅に改善し、収益貢献を始めた。
投資事業は、営業収益は7,319百万円(前年同期比8.2%減)であったが、GL株式の減損損失(株価の18.27THBから6.80THBへの下落に伴い47億円の減損)や、GL転換社債を取消し、金銭債権に債権区分を変更したことで、新株予約権部分に対する損失(35億円)、金銭債権に対する貸倒引当金(17億円)などを計上し、2,759百万円のセグメント損失(前年同期は株式売却益やデリバティブ評価益の計上により7,738百万円の利益)となった。
総合エンターテインメント事業、不動産事業の非金融事業では営業収益は14,003百万円であったが、セグメント損失443百万円にとどまり、同社グループ全体の利益に与える影響は軽微であった。
3. 財政状況と経営指標
2018年3月期第3四半期末の総資産は、前期末比62,895百万円増の682,761百万円になった。
これは主に、銀行業における貸出金、営業債権及びその他の債権が増加したことなどによる。
一方、負債合計は、前期末比60,941百万円増の524,894百万円になった。
これは主に銀行業における預金、社債及び借入金が増加したことなどによる。
また、2014年3月期に1千億円のライツ・オファリングにより増強された資本合計については、前期末比1,953百万円増の157,867百万円となった。
これは主に、剰余金の配当を実施した一方で、その他の包括利益の増加により、その他の資本の構成要素が増加したことによるものである。
以上の結果、2018年3月期第3四半期の親会社所有者帰属持分比率は22.3%であった。
同社グループでは総資産が急拡大したことや損失を計上したことから、同比率は2016年3月期末の32.1%から低下しているが、今後は利益の積み上げにより、改善に向かうと予想される。
2018年3月期第3四半期のキャッシュ・フローの状況では、現金及び現金同等物は前期末比4,450百万円増の85,117百万円になった。
営業活動によるキャッシュ・フローの減少3,458百万円は、主に銀行業における預金が増加した一方で、貸出金の増加、法人所得税等の支払額の増加により資金が減少したためである。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローの増加244百万円は、銀行業における有価証券の売却による収入が主因である。
また、財務活動によるキャッシュ・フローの増加4,893百万円は、社債の発行、短期社債の純増などによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
1. 2018年3月期第3四半期の業績概要
Jトラスト (T:8508)では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。
2018年3月期第3四半期の営業利益は2,691百万円と、前年同期比64.7%の減益に終わった。
これは、国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業の主力事業が順調に成長し、利益を計上したものの、投資事業でGL関連の損失(転換社債の新株予約権部分の評価損計上、転換社債取消による金銭債権に対して貸倒引当金を計上、保有株式についても減損処理を実施など)を計上したことが響いた。
主力の金融3事業では増益を維持したことで、グループ全体の営業利益を確保した。
2. セグメント別の動向
セグメント別では、2018年3月期第3四半期累計の営業収益は国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業は増収であったが、投資事業と非金融事業は減収に終わった。
営業利益では、韓国金融事業や東南アジア金融事業で大幅な増益を記録したが、国内金融事業は減益、投資事業は大幅な損失を計上した。
また、東南アジア金融事業が黒字に転換し、収益貢献を始めた。
国内金融事業では、子会社の日本保証が不動産関連の保証事業に注力した結果、債務保証残高の合計は128,888百万円と前年同期比68.9%増となった。
また、日本保証、パルティール債権回収による債権回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、買取債権残高は12,570百万円(同4.3%増)となった。
以上から、国内金融事業の営業収益は7,117百万円(同0.8%増)に拡大した。
一方、セグメント利益は前期に計上した一過性の不動産売却益がなくなり3,495百万円(同14.4%減)となったものの、セグメント中最大の利益を稼いだ。
韓国金融事業では、JT親愛貯蓄銀行及びJT貯蓄銀行の貸出残高は273,477百万円(前年同期比26.1%増)と順調に拡大した。
この結果、韓国金融事業の営業収益は26,790百万円(同28.6%増)、セグメント利益は3,097百万円(同61.7%増)となり、国内金融事業に次ぐ利益を上げた。
東南アジア金融事業では、長らくインドネシア預金保険機構の管理下にあった銀行業のJトラスト銀行インドネシアにおいて再生に向けた事業構造改革に取り組んだ結果、貸出残高は95,180百万円(前年同期比1.5%減)となった。
一方、債権回収事業のJトラストインベストメンツインドネシアでは回収が順調に進んだ。
以上の結果、東南アジア金融事業の営業収益は10,583百万円(同1.6%増)、セグメント利益は1,105百万円(前年同期は3,481百万円の損失)と大幅に改善し、収益貢献を始めた。
投資事業は、営業収益は7,319百万円(前年同期比8.2%減)であったが、GL株式の減損損失(株価の18.27THBから6.80THBへの下落に伴い47億円の減損)や、GL転換社債を取消し、金銭債権に債権区分を変更したことで、新株予約権部分に対する損失(35億円)、金銭債権に対する貸倒引当金(17億円)などを計上し、2,759百万円のセグメント損失(前年同期は株式売却益やデリバティブ評価益の計上により7,738百万円の利益)となった。
総合エンターテインメント事業、不動産事業の非金融事業では営業収益は14,003百万円であったが、セグメント損失443百万円にとどまり、同社グループ全体の利益に与える影響は軽微であった。
3. 財政状況と経営指標
2018年3月期第3四半期末の総資産は、前期末比62,895百万円増の682,761百万円になった。
これは主に、銀行業における貸出金、営業債権及びその他の債権が増加したことなどによる。
一方、負債合計は、前期末比60,941百万円増の524,894百万円になった。
これは主に銀行業における預金、社債及び借入金が増加したことなどによる。
また、2014年3月期に1千億円のライツ・オファリングにより増強された資本合計については、前期末比1,953百万円増の157,867百万円となった。
これは主に、剰余金の配当を実施した一方で、その他の包括利益の増加により、その他の資本の構成要素が増加したことによるものである。
以上の結果、2018年3月期第3四半期の親会社所有者帰属持分比率は22.3%であった。
同社グループでは総資産が急拡大したことや損失を計上したことから、同比率は2016年3月期末の32.1%から低下しているが、今後は利益の積み上げにより、改善に向かうと予想される。
2018年3月期第3四半期のキャッシュ・フローの状況では、現金及び現金同等物は前期末比4,450百万円増の85,117百万円になった。
営業活動によるキャッシュ・フローの減少3,458百万円は、主に銀行業における預金が増加した一方で、貸出金の増加、法人所得税等の支払額の増加により資金が減少したためである。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローの増加244百万円は、銀行業における有価証券の売却による収入が主因である。
また、財務活動によるキャッシュ・フローの増加4,893百万円は、社債の発行、短期社債の純増などによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)