■要約フェローテックホールディングス (T:6890)の主力事業は、真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、磁性流体、サーモモジュール、シリコンウェーハ、太陽電池用シリコンなど様々な製品、装置、部品、素材等を製造することだが、半導体製造装置メーカー向けに各種部品等の洗浄サービスやシリコンウェーハの研磨なども行っている。
1. 2019年3月期第2四半期(実績)2019年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比5.2%増の45,230百万円、営業利益が同12.7%増の5,069百万円、経常利益が同26.1%増の4,866百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同22.9%増の2,824百万円となった。
太陽電池及び電子デバイスは低迷したものの、世界的な半導体市場の活況を背景に、主力の半導体等装置関連が増収・増益となり、営業利益は前年同期比で2ケタの増益となった。
加えて、為替差損益により経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益の増益幅は大きくなった。
セグメントによって明暗が分かれた決算であったが、全体としては増益を維持しており、ほぼ予定どおりの結果だったと言える。
2. 2019年3月期(予想)2019年3月期の業績は、売上高92,000百万円(前期比1.5%増)、営業利益9,800百万円(同16.2%増)、経常利益8,500百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,300百万円(同97.9%増)が見込まれている。
太陽電池事業の不振から、売上高は期初予想の98,000百万円から下方修正されたが、赤字幅も縮小することが予想される。
また、半導体関連の設備投資はややスローダウンする可能性があるものの、生産関連は好調を継続し、洗浄等の新規事業も拡大が見込めることから通期の利益予想は変更されていない。
3. 中長期的な見通し:高水準の設備投資を実施特に定量的な目標は発表していないが、今後数年間で主要製品の生産設備を大幅に増設する計画で、2019年3月期の設備投資額は30,000百万円(期初計画40,000百万円)と後ずれしているが、反対に2020年3月期は40,000百万円(当初30,000百万円計画)に増額の見込み。
主要向け先である半導体や同製造装置業界は、足元ではややペースダウンしているものの、中長期的には依然として高水準の投資が続くと予想されることから、一気に業容の拡大を図る計画だ。
さらに今後は自動車向けにも注力し、既に社内にプロジェクトチームを立ち上げている。
ESG活動にも注力しており、定量的な面だけでなく定性的な面も含めて、今後の同社の変化は大いに注目する必要があるだろう。
■Key Points・石英、セラミックス等の無機系製品の大手メーカー。
半導体業界向けが多い・半導体業界はややペースダウンだが、2019年3月期は前期比16.2%の営業利益増を見込む・2019年3月期の設備投資は30,000百万円と高水準。
定性面も含めて今後の動向は要注目(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)