先週の新興市場では、マザーズ指数の強い動きが目立った。
米中貿易協議の先行き不透明感から日経平均は下落したが、年初来高値圏の日経平均に比べマザーズ指数は出遅れ感が強く、押し目買いが優勢となった。
また、7-9月期の決算発表が終わり、大きな値幅を狙う個人投資家の物色が中小型株に向かいやすかった。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.8%であったのに対して、マザーズ指数は+4.1%、日経ジャスダック平均は+1.3%だった。
マザーズ指数は11月22日、終値で8月2日以来の高値を付け、日経ジャスダック平均は年初来高値を更新している。
個別では、メルカリ (T:4385)が週間で1.2%高、サンバイオ (T:4592)が同3.8%高とマザーズ時価総額上位は全般堅調。
飲食店向け台帳サービスのトレタとの業務提携を発表した弁護士ドットコム (T:6027)は同16.9%高となった。
レアジョブ (T:6096)は週間の売買代金、上昇率ともにマザーズでトップ。
直近の好決算とともに、Z会の通信教育向けにオンライン英会話レッスンの提供を開始することが買い材料視された。
売買代金上位ではBASE (T:4477)やシェアリングテクノロジー (T:3989)の上げも目立った。
反面、業績下方修正を発表したMTG (T:7806)が中村超硬 (T:6166)などとともに下落率上位に顔を出した。
ジャスダック主力ではワークマン (T:7564)が同4.6%高となる一方、ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)は米中協議の先行き懸念で同6.6%安と軟調だった。
売買代金上位ではチエル (T:3933)やアンビスHD (T:7071)が大幅高。
ともに決算を好感した買いが続いた格好で、チエルは週間のジャスダック上昇率トップとなった。
反面、アエリア (T:3758)は決算発表後の利益確定売りが続き、新都HD (T:2776)などが下落率上位に顔を出した。
IPOではトゥエンティーフォーセブン (T:7074)が公開価格を1割ほど上回る初値を付け、その後大きく値上がりした。
今週の新興市場では、マザーズ指数の上値が重くなってくる可能性がある。
決算発表一巡で中小型株物色の流れとなっているが、マザーズ指数は8月以降続くもち合いのレンジ上限に接近し、利益確定の売りも出やすいだろう。
マザーズ売買代金は1日600~700億円台にとどまり、本格的な資金流入には至っていない。
また、今週から12月IPOのブックビルディング期間に入ってくる。
後述するとおり12月IPOは件数が多いうえ、公開規模の大きい案件も多く、個人投資家の資金余力が低下しやすい。
今週は、11月29日にはてな (T:3930)、ウチダエスコ (T:4699)、キタック (T:4707)、ACCESS (T:4813)などが決算発表を予定している。
ウチダエスコは親子上場解消への思惑や、学校でのパソコン普及への期待から直近で大きく値上がり。
学校教育ICT事業のチエルが好決算だったことも期待につながっているとみられる。
また、先週はラクスル (T:4384)やウィザス (T:9696)で高レーティング付与が観測された。
IPO関連では、マクアケ (T:4479)、メドレー (T:4480)、ベース {{|0:}}、ランサーズ (T:4484)といった12月上場案件が順次ブックビルディング(BB)期間に入る。
公開規模の大きい案件が多いため、機関投資家らの評価が窺える仮条件の水準や、BBにおける需要状況を注視したい。
なお、先週はAI inside {{|0:}}(12月25日、マザーズ)など7社の新規上場が発表され、12月のIPOは23社となっている。