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今週の新興市場では、マザーズ指数が週間ベースで大幅反落し、700ptを大きく割り込んで取引を終えた。
商品市況の高騰でインフレ懸念が強まり、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め観測もあって米長期金利が上昇。
マザーズ銘柄などのグロース(成長)株は原油価格の上昇一服とともに買われる場面もあったが、続かなかった。
ウクライナ情勢の混迷も投資家心理の低迷につながり、週末にはメルカリ (T:)の急落がマザーズ指数を大きく押し下げた。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-3.2%であったのに対して、マザーズ指数は-7.5%、日経ジャスダック平均は-1.9%だった。
個別では、前述のメルカリが週間で18.3%安となったほか、その他マザーズ時価総額上位でもフリー (T:)が同14.1%安、サンバイオ (T:)が同25.2%安、Appier Group (T:)が同21.3%安と大きく下落。
インフレ・金利上昇で先行投資段階のベンチャーほど株価へのマイナス影響が大きい。
売買代金上位ではFRONTEO (T:)、BASE (T:)などが売られた。
また、サイエンスアーツ (T:)などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。
一方、GRCS (T:)などサイバーセキュリティ関連銘柄の一角は前の週に続き買われる場面があり、アスカネット (T:)は業績上方修正が好感された。
また、ログリー (T:)の人気が続き、上昇率トップとなった。
ジャスダック主力もワークマン (T:)が同6.2%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:)が同11.7%安となるなど全般軟調。
売買代金上位ではフェローテックHD (T:)などが売り優勢だった。
また、エフアンドエム (T:)などが下落率上位に顔を出した。
一方、ウエストHD (T:)は同5.1%高となり、フルヤ金属 (T:)なども上昇。
山大 (T:)などが上昇率上位に顔を出した。
IPOでは、東証2部上場のセレコーポレーション (T:)が公開価格割れスタートとなった。
来週の新興市場では、なお厳しい環境が続くとみておきたい。
金融市場全体としてウクライナ危機とインフレの長期化を想定し始め、各国金融政策についても難しい局面ながら引き締めは避けられずといった見方が広がっている。
3月15〜16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と前後して短期的なリバーサル(株価の反転)の動きが出てくる可能性もあるが、中長期的な基調の変化は期待しづらく、グロース色の強いマザーズ銘柄の本格的な復調は遠そうだ。
マザーズ銘柄を頻繁に売買するタイプの個人投資家の損益悪化も気掛かりだ。
来週は、3月14日にプレミアアンチエイジング (T:)、15日にビジョナル (T:)、16日にスマレジ (T:)、セルソース (T:)、サーキュレーション (T:)、17日にGA technologies (T:)、Macbee Planet (T:)などが決算発表を予定している。
ビジョナルはグロース株安の逆風こそ強いが、ここまで転職サイト「ビズリーチ」を軸とした力強い成長で高評価を維持している。
今回の決算にも注目したい。
IPO関連では、3月17日に守谷輸送機工業 (T:)が東証2部へ新規上場する。
主に荷物用・船舶用のエレベーターを手掛け、業績は堅調だが、公開規模にやや荷もたれ感があると受け止められているようだ。
なお、今週はサークレイス(4月12日、グロース)の新規上場が発表される一方、住信SBIネット銀行など3社が上場中止している。
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