[東京 27日 ロイター] - 来週の外為市場では、米国の景気減速懸念が意識される中で、ドルは上値の重い展開が予想されている。市場では米利上げをめぐる先行き不透明感が増しているとの指摘もあり、積極的なドル買いは手控えられそうだという。マーケットは引き続き、米経済指標をにらみながら、ドル/円の方向感を探る動きになるとみられている。
予想レンジはドルが125.00━128.50円、ユーロが1.0400―1.0900ドル。
市場では、米国の景気減速懸念が完全に払拭されず、足もとのドルは上値の重い状況が続いている。マーケット参加者はひとつひとつの米経済指標を確認しながら、米経済が利上げに耐えられるかどうかを見極めている状況だという。
T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャー、浪岡宏氏は、5月の米ⅠSM製造業景況指数、5月の米雇用統計に注目だと指摘。ⅠSM製造業景況指数は前月よりも低下、雇用統計では、雇用の伸びが鈍化する可能性があるとし、「いずれもドルの上値を抑える要因になるのではないか」と話した。
同氏は、「米国の景気後退はまだ先だと思うが、景気減速懸念はなかなか和らがない」としている。
また、市場参加者の間では、米国の利上げペースを巡る先行き不透明感も意識されているという。ソニーフィナンシャルグループのアナリスト・森本淳太郎氏は、米連邦準備理事会(FRB)が6月、7月に50ベーシスポイント(bp)の利上げを行うという見方が基本路線だが、「マーケットの一部では、7月の利上げが25bpになるのではないか、との思惑もあるようだ」と話す。長期的にみればドルは上方向を試す余地があるが、「目先はドル売りが続く可能性がある」(森本氏)という。
ユーロは底堅い展開が予想されている。ただ、欧州経済が欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めに耐えられるかは現時点では不透明との見方もあり、「ユーロは底堅いが、積極的に上値を追うのは難しいのではないか」(国内銀行)との意見が聞かれた。
主なスケジュールでは、国内では4月失業率、4月有効求人倍率などが発表される予定。海外では、オーストラリアで1―3月期国内総生産(GDP)、米国で米地区連銀経済報告(ベージュブック)、5月ADP雇用統計などが発表予定となっているほか、カナダ中銀が政策金利発表を行う。5月30日はメモリアルデーのため米国は休場。