[ニューヨーク 18日 ロイター] - 米大手銀行は第2・四半期の決算発表で融資の伸びが好調との見方を示した。新型コロナウイルス禍から個人・企業の融資需要が回復しているという。
ただ、景気見通しの悪化で消費者信頼感が冷え込めば年内に融資需要が鈍化する可能性があるとも指摘した。
JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴは第2・四半期の融資残高がぞれぞれ前年比7%、8.4%増加したと指摘。資産の質が悪化している兆しは見られないと表明した。
JPモルガンは今年の融資が1桁半ば─後半の増加になると予想。融資の増加と利上げを背景に銀行の純利ざやは拡大する見通しだ。
例えば、シティグループは融資の粗利回りが5四半期連続で上昇し、第2・四半期に5.81%に達したと指摘。
ウェルズ・ファーゴのアナリストも「第2・四半期決算は明るい見方を強める内容となった」とし、信用の質は高く、融資は増加しており、純金利収入が前四半期比で10%増加したと分析した。商業ローンの伸びは14年ぶりの高水準という。
ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン、シティは企業向け融資が第2・四半期に増加したとし、インフレに伴うコストの増加分を相殺できるケースが多かったと報告。
例えば、JPモルガンでは商工ローンが大幅に増加した。リボルビング・ファシリティーの利用が6%拡大したほか、新規の口座も開設された。商業不動産ローンは3%増だった。
シティのインスティチューショナル・クライアント・グループでは融資が3%増加した。ウクライナ戦争で市場のボラティリティーが高まり、顧客が債券市場を通じた資金調達に消極的になっているという。
ただCFRAリサーチのリサーチディレクター、ケネス・レオン氏は景気後退リスクを踏まえると、下半期の商業ローンの伸びは横ばいとなり、消費者ローンはたとえわずかであっても減少する公算が大きいと予想。
消費者向け融資は、金利上昇の影響で住宅ローンが足を引っ張る要因となっているが、JPモルガンとウェルズ・ファーゴのクレジットカードローンはともに17%増加した。
銀行幹部は、信用の質は依然として非常に高いが、インフレで個人消費が鈍化する公算が大きいとの見方を示している。
ウェルズ・ファーゴのマイク・サントマシモ最高財務責任者(CFO)は「第2・四半期と同じペースが続くとは思えない」と発言。
モルガン・スタンレーのシャロン・イェシャヤCFOも、ウエルスマネジメント部門の顧客を中心に融資が前年比で70億ドル増加したが、金利上昇で同部門の融資は伸び悩むとの見通しを示した。「信用の質は依然として非常に高いが、来年には悪化するだろう」としている。