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[シドニー 2日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は2日、政策金利を4会合連続で引き上げた。ただインフレの加速とともに成長見通しは引き下げ、政策引き締めをややトーンダウンさせた。
政策金利のオフィシャルキャッシュレートは50ベーシスポイント(bp)引き上げ1.85%とした。5月以降4回で計175ベーシスポイント(bp)引き上げ、1990年代初頭以降で最も積極的な引き締めとなったが、今後の政策対応は状況次第との認識を示した。
声明は「今後数カ月、金融情勢の正常化に向けてさらなる措置を取る」と予想しながらも「あらかじめ決まった道筋にあるわけではない」と表明。経済の安定とインフレ率を目標に戻すことを両立させる道筋は狭いと説明した。
市場はハト派的と受け止め、豪ドルは0.6977米ドルに0.6%下落。3年債先物は8ティック上昇し87.250を付けた。
スワップ市場が織り込む政策金利のピークは3.31%近辺と、中銀声明発表前の3.41%から低下した。
中銀は今回、消費者物価指数(CPI)上昇率のピークが7.75%近辺と、従来予想の7%から引き上げ、中銀の目標レンジ(2─3%)の上限まで下がるのは24年と予想した。
4─6月期のCPI伸び率は6.1%だった。
経済成長率については2022年が3.25%、それ以降は1.75%と予想されている。従来予想は22年が4.2%、23年が2.0%だった。
RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、アダム・コール氏は「声明は予想よりもハト派的で、9月の理事会は25bpか50bp(の利上げ)にするかという議論になりそうだ」と述べた。
<積極利上げに不満>
ロウ総裁はかねて、雇用情勢が極めて強く家計の需要も比較的良好なことを踏まえ、経済は引き締めによる痛みを克服できると主張していた。
しかし家計は総額2兆ドルの住宅ローン債務を抱え、バブル的状況だった住宅価格も急落する中、借り入れコストの上昇は購買力を弱めている。
一連の利上げで平均62万豪ドルの住宅ローンに対する月々の返済額は560豪ドル程度増える見込み。
積極的な利上げは一部で反発を呼び、地元タブロイド紙はロウ総裁の辞任を要求するまでになっている。
チャーマーズ財務相は先月、中銀の物価目標や政策手段、政策委員会の構造などについて外部識者による点検作業を開始すると発表した。