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新興市場見通し:テクニカル・市場環境の好転で上値を試す展開

発行済 2022-10-29 14:50
更新済 2022-10-29 15:00
© Reuters.

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■FRBの利上げペース減速期待がさらなる追い風に

今週の新興市場は続伸。
前の週末の一部報道にて、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅縮小に向けて、11月1−2日開催のFOMCで協議する見込みと伝えられた。
利上げペース減速期待が高まる中、新興株には週明けから買いが先行。
報道後も高止まりしていた米10年債利回りが、米経済指標の悪化などを背景に大きく低下に転じると、週半ばにかけては新興株は一段高となった。
また、英国で経済に精通したスナク元財務相が次期首相に決まる見通しと伝わったことも支援要因になった。
総じて低調に終わった米IT大手GAFAMの決算が重石となる形で、週末にかけては続落したが、下落局面でも新興株は底堅く、週前半の上昇分を余裕を持って残して終えた。
なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.80%であったのに対して、マザーズ指数は+2.99%、東証グロース市場指数は+3.00%。


個別では、週間でAppier Group (TYO:4180)が+10.3%、ティーケーピー (TYO:3479)が+11.3%、サンウェルズ (TYO:9229)が+21.9%と大きく上昇したほか、ビジョナル (TYO:4194)が+4.9%、そーせいG (TYO:4565)が+6.3%、メドレー (TYO:4480)が+7.5%、BuySell (TYO:7685)が+8.5%、アドベンチャー (TYO:6030)が+6.0%などと時価総額上位銘柄が総じて堅調に推移した。
上場来高値圏での推移が続いているANYCOLOR (TYO:5032)は国内証券の新規買い推奨を受けて急伸する場面もあったが、利益確定売りも出て週間では−2.5%とやや調整。
弁護士ドットコム (TYO:6027)は決算が冴えなかったこともあり、年初来安値圏にありながらも−3.4%と軟調に終わった。


■上場来高値圏を維持する直近IPOに注目、2社の新規上場が承認される

来週の新興市場は上値を試す展開か。
マザーズ指数は25日に遂に200日移動平均線を上抜けた。
これは2021年11月半ば以来のことだ。
また、日足一目均衡表では26日に雲上限を突破し、三役好転を示現。
テクニカル面は大きく好転してきている。
さらに、FRBの利上げペース減速期待が高まり、ひいては来年前半の利上げの一時停止も視野に入る中、市場の環境も新興株には追い風となってきている。


来週は1−2日にFOMCが開催されるが、0.75ptの利上げはほぼ織り込み済みであり、ネガティブサプライズの可能性は小さい。
想定通り、12月会合での利上げ幅縮小のシグナルが出されれば、一段高の展開が期待できる。
個人投資家の物色意欲は旺盛で、海外投資家や国内機関投資家の影響が大きい大型株とは異なり、今年下半期の新興株は相対的な強さが目立っている。
このため、週末には米10月雇用統計を控えるが、これは大型グロース株の手控え要因にはなっても、新興市場の中小型グロース株の買い抑制要因にはならないだろう。
直近IPO(新規株式公開)銘柄や直近四半期で好決算が確認されている銘柄を中心に強い動きを想定する。
ただ、先行き不透明感が強い中、資金の動きも速いため、さすがに米雇用統計の直前には利益確定で持ち高を縮小しておいた方がよいだろう。


個別では、新興株に追い風が吹くなか、直帰IPOの中でも上場来高値圏での推移が続くM&A総合研究所 (TYO:9552)、サンウェルズ (TYO:9229)、INTLOOP (TYO:9556)は特に注目だろう。
3社とも独自のビジネスモデルや対象市場を有しており、高成長を続けている。
中でも、M&A総合研究所はテクノロジーを活用した事業展開を強みとしており、長期的にはM&A領域にとどまらない分野でのビジネス開拓などポテンシャルを感じさせる。


来週は31日からベースフード (HK:2936)がブックビルディング(BB)期間に入る。
なお、POPERが28日からBB期間に入っている。
ほか、来週は今週に初値が付かなかったpluszeroの上場に改めて注目したい。
今週はウェルプレイド・ライゼスト、サイフューズの2社の新規上場が承認されている。



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