[東京 28日 ロイター] - ドル/円 JPY= ユーロ/ドル EUR= ユーロ/円 EURJPY= 午後3時現在 123.79/81 1.0917/21 135.15/19 正午現在 124.14/16 1.0891/95 135.21/25 午前9時現在 123.73/75 1.0896/00 134.83/87 NY午後5時 123.66/69 1.0904/09 134.81/85
午後3時のドル/円は、ニューヨーク午後5時時点に比べ若干ドル高/円安の123 円後半。午前11時過ぎからドル買い/円売りの勢いが強まると、上値めどとみられてい た124.14円を一気に上抜け、2002年12月以来、12年5カ月ぶりの高値とな る124.30円をつけた。だが、午後に入って利益確定売りが先行し、午前の上げ幅の 4分の3を返上した。
ドル/円は朝方から123.60─70円台で小動きが続いていたが、仲値通過後に 123.50円まで下押しこの日の安値をつけた、下値ではすかさず米系ファンドの買い が流入したとされ、下げも限定的だった。 124円台にかけては、シンガポール勢など朝方から打診買いを入れてきた海外勢か らの買いが散見され、ドルを押し上げた。株価が連騰していることもドル買い/円売り安 心感につながったという。 この日のドル買いは海外短期筋主導とされるが、一部では、事業会社の海外直接投資 にからむ外貨手当がドル買いにはずみをつけたとの見方も出ている。 午後の取引で、ドルは一時123.65円まで下落し、午前の上げ幅を4分の3返上 する格好となった。短期筋の利益確定売りが主因とみられる。
足元のドル高進行について、JPモルガン・チェース銀行、チーフFX/EMストラ テジストの棚瀬順哉氏は、「ドルが全般に強いこと、当局者から強い円安けん制発言がで ていないこと、海外勢が新たな円ショートの積み増しに動いていること」などを要因とし てあげている。
<生温い円安けん制>
午前の為替市場では、菅官房長官の発言後に、ドル買いが勢いづいた。因果関係は明 らかではないが、為替市場では、政府・日銀の円安けん制が、これまでのところ「生温い 」(外銀)との見方が強い。 菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で、ドル高/円安が進んでいることについて 、急激な為替相場の変動は望ましくないとした上で、引き続き注視すると語った。 一方、円安を受けて株高が進んでいることに関し、「日本経済の実態が大きく変化し てきている」と述べ、有効求人倍率などさまざまな数字上では、回復傾向が見えていると の見方を示した。
市場では、「政府は一応、円安をけん制しているが、スピード調整ができればいいと いう印象だ」とマネックス証券、シニア・ストラテジストの山本雅文氏は言う。 一方、円安について警戒する財界の声は、現時点でそれほど大きくなっていない、と 同氏は付け加える。 米国当局のけん制やドル高を背景とする米国株安が日本株に波及しないかぎり、円安 けん制のトーンは変化しないだろう、と山本氏は述べる。
官房長官の発言だけでなく「麻生太郎財務大臣と黒田東彦総裁もこれまでの了解事項 を確認しただけで、全然(ドル高/円安を)止めようという感じではない」(市場関係者 )として、近いうちに125円をつけに行くのではないかとの見方が出ていた。
時事通信によると、日本商工会議所の三村明夫会頭は27日の記者会見で、123円 台まで下落した円相場について、「なぜ下落したのか分からない。日本のファンダメンタ ルズは決して悪くない」と述べたうえで、「円安弱者がいるわけだし、日本経済全体でメ リットを享受する行動を企業は行うべきだ」とした。 また、共同通信によると、同会頭は、中小企業にとって為替は110円程度が適切と した。
<日生幹部「オープン外債への投資控える」>
日本生命幹部は、ドルが割高となった環境で、オープン外債への投資は控えざるをえ ないとしたうえで、米国債以外で割安なところを探すと述べた。 明治安田生命幹部は、当初計画通り、オープン外債中心に積み上げる方針を明らかに した。
<ギリシャ支援協議に動きがあるか>
ユーロ/ドルは1.08ドル後半から1.09ドル前半で方向感に乏しい値動きとな った。市場では、ギリシャの支援協議の動向に注目が集まっている。
前日海外時間、米国の年内利上げ観測やギリシャ問題への懸念で、ユーロ/ドルは一 時1.0819ドルまで下落し、1カ月ぶりの安値をつけた。その後、ギリシャと債権団 が金融支援をめぐる協議で合意が近いとの報道があって持ち直したが、「ギリシャ側から 出てくるコメントだけをあてにするのは危険だ」(外為アナリスト)との声も出ていた。
ドイツでは29日までの日程で主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が行わ れている。ギリシャ支援協議は公式な議題には含まれていないものの、協議には上る見通 しだ。
(為替マーケットチーム)