[ハーグ 8日 ロイター] - 親ロシア派勢力が支配するウクライナ東部上空で2014年7月にマレーシア航空機が撃墜された事件で、国際検察当局はロシアのプーチン大統領が撃墜に使われたロシアのミサイルシステムのウクライナでの使用を承認した「明らかな形跡」があったと発表した。
ただ、プーチン大統領のほかロシア政府高官の関与を示す決定的な証拠は得られなかったため、捜査はいったん打ち切られた。
マレーシア航空17便は14年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールに向かいウクライナ東部上空を飛行中にロシア製ミサイルシステム「ブク」で撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡。死亡者のうち196人がオランダ国籍だった。
検察当局は声明で「ロシア大統領がブクの供給を決定した明らかな形跡がある」と指摘。ただ検察官の一人はハーグで開かれた記者会見で、「捜査は限界に達した」とし、「新たに容疑者を起訴するには不十分だった」と述べた。
この件に関し、ロシア大統領府からコメントは得られていない。ロシアはこれまでも関与を否定している。
同航空機が撃墜された時期、ウクライナ軍は東部ドネツク州の親ロシア派と戦っており、その8年後の22年2月のウクライナ全面侵攻開始から約7カ月後にロシアはドネツクを含む地域を一方的に「併合」した。
ウクライナのコスチン検事総長は、ロシアのプーチン大統領を裁判にかけるために「全ての国際的な法制度を利用する」と表明。オランダのルッテ首相は、引き続き「ロシア連邦の責任を追及する」と述べた。