[ニューヨーク 15日 ロイター] - スイス金融大手クレディ・スイスの米国預託証券(ADR)の個別銘柄オプション取引が15日、記録的な出来高となった。経営不安を背景に株価が急落したことに伴って、市場でさまざまな思惑が交錯した結果とみられる。
15日午後の時点で同オプションの出来高は59万7000枚と、通常の1日当たり平均の27倍強に達し、取引終了時間までには過去最高の79万2000枚に達する見通し。この日の米国株式個別銘柄オプション全体でも4番目の出来高だ。
コール(買う権利)とプット(売る権利)の購入比率は1対1.7でプットが優勢。サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ戦略共同責任者クリス・マーフィー氏は「非常な活況で1つのトレンドを見分けにくいが、何よりもプットの買いが多かった」と指摘した。
市場参加者の間では、出来高の大きさや多くの双方向取引が見られた点からすると、投資家の大勢がどのような動きに賭けていたのかを読み取るのは困難だとの声も聞かれる。
独立系オプショントレーダーの1人は、クレディ・スイスのオプションは欧州銀行全体への信用不安波及や欧州中央銀行(ECB)の介入といった重大イベントまで視野に入った大規模な取引になったので、投資家の想定も多種多様だと説明。ボラティリティー増大に伴う収益を狙った向きもあれば、クレディ・スイスの株価が早期に反発すると見込むトレーダーさえいたと付け加えた。
トレード・アラートのデータによると、この日はドイツ銀行やUBSグループなど他の欧州銀のADRオプションも活発に取引され、ほとんどはプットが優勢だったという。