*15:23JST トレードワークス Research Memo(3):金融業界に特化した独立系システム開発会社として成長(2)
■トレードワークス (TYO:3997)の会社概要
(4) デジタルコマース事業
デジタルコマース事業では、「次世代のデジタルコマースを創生する」をミッションとし、金融システム開発で培ったコア技術をベースとしたECプラットフォーム及びソリューションの提供を行っている。
現在のメインビジネスは、2021年12月に資本業務提携したコネクテッドコマースとの協業によるOMO(Online Merges with Offline)ソリューション「AZLM」※である。
同システム(EC、決済、専用アプリ等)全般を開発・運営・管理しており、月額サービス利用料に加えて流通額に応じた販売手数料を得る収益モデルとなっている。
※「AZLM」は「From A to Z, Live Marketing」の頭文字を引用したもので、あらゆる商品をライブでマーケティングできるリアル×デジタル体験型店舗のこと。
商品の購入はECで行う仕組みとなっている。
現在、渋谷と仙台空港、岩手の3ヶ所に「AZLM CONNECTED CAFE」を出店しており、「地方創生」をテーマにコネクテッドコマースにてFC展開や大手企業との協業により全国展開を進める計画である。
そのほか、2021年12月にアイエント(株)が運営する日本初のオンライン免税ECサービス「Tax Free Online※1」のシステム開発・保守提供するなど、自社開発したECプラットフォームの横展開を進めている。
また、AR/VR技術を用いたメタバースソリューションも含まれている。
その第1弾として「広報メタバースソリューション※2」の展開を進めている。
※1 「Tax Free Online」は訪日観光客をターゲットに「旅マエ、旅ナカ」のいずれの段階でもECサイトを通じて免税品を購入することが可能なサービスである。
注文はスマートフォンアプリを通じて行い、商品は提携先の宿泊施設や空港で受け取る仕組み。
同社はECサイトの開発料や保守サービス料のほか、流通額に応じたレベニューシェアを受け取る契約となっている。
※2 「広報メタバースソリューション」は、VRゴーグル・VRヘッドセットなどの専用機器を使わずにスマートフォンで利用できる。
国政・県政・市政を担う議員等の日々の活動をテキスト情報や動画などで紹介できる新たな広報バーチャル空間で、参加者との直接的な対話など交流も行える。
(5) ソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業
ソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業は、金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営管理及び支援を行うビジネスである。
新たに子会社化したあじょ※を中心に構成されており、2022年12月期第2四半期から売上計上している。
※あじょの子会社化前の業績は、2021年3月期で売上高223百万円、営業利益2百万円。
のれんは142百万円で5年定額償却となっている。
3. 市場動向と同社の強み
同社が主力市場としている証券業界のシステム投資額(ハードウエア除く)は年間2,000億円を上回る規模で推移していると見られ、提供形態別で見ると、クラウドでの提供が全体の約7割を占め、残りがスクラッチ開発※やパッケージ製品という構成となっており、クラウド利用の構成比が年々上昇傾向にある。
ここ数年はインターネット取引の普及拡大や取り扱い(外国株式、ETF、デリバティブ商品等)の拡大などもあって、システム投資は底堅く推移しており、今後も年率1ケタ台の安定成長が続くものと予想される。
※製品を開発する際に、既に存在する何かを土台とせずにゼロから新たに作り上げること。
証券取引システムは、従来から大手証券会社系列のシステム開発会社がシェアの大半を握る構造となっており、トップベンダーの野村総合研究所 (TYO:4307)、2位の(株)大和総研のグループで全体の約7割を占めていると見られる。
同社がこれら大手証券やその系列子会社の取引システムを受注する可能性は低いものの、過去には総合証券会社の取引システムをリプレースした実績もあり、可能性はゼロではない。
また、インターネット取引を取り扱う証券会社数はネット専門証券会社の新規参入も含めて増加傾向が続いており、同社にとって顧客開拓の好機となっている。
同社の強みは、証券に関する深い知識を持ったエンジニアを自社で多数抱えることで、顧客ニーズに最適なシステムを競合大手よりも短期間かつ低コストで設計・開発できる点にある。
証券システムの開発に関しては精鋭集団とも言える。
また、証券業界では新たな金融商品の開発や法規制の改正などによりシステム改修ニーズが頻繁に発生するが、こうしたニーズに対しても低コスト・短期間で対応可能となっている。
これは同社がエンジニアに対して金融知識を深めるための研修に注力していることに加え、システム開発を完全オブジェクト指向※で行っていることも要因と考えられる。
※オブジェクト指向とは、ソフトウエア開発技法の1つ。
あるデータ処理をオブジェクト(モノ)にまとめて部品として扱い、部品の組み合わせでシステム全体を構築していく開発手法のこと。
部品の再利用や分類がしやすく、開発工程を効率化できる利点がある。
弱みについては、重大なインシデントが発生した場合の補償などに関する信用力で競合大手と比較すると劣る点が挙げられる。
これは同社がまだ創業20年余りの新興企業であり、財務基盤が盤石ではないためだ。
このため相見積もりで競合より受注見積額が低かったとしても、相手側に案件が流れるケースもある。
ただ、将来的には収益成長とともに財務基盤も拡充する見通しであり、機能・サービス面での優位性を維持向上し続けることでシェアを拡大することも可能と弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
(4) デジタルコマース事業
デジタルコマース事業では、「次世代のデジタルコマースを創生する」をミッションとし、金融システム開発で培ったコア技術をベースとしたECプラットフォーム及びソリューションの提供を行っている。
現在のメインビジネスは、2021年12月に資本業務提携したコネクテッドコマースとの協業によるOMO(Online Merges with Offline)ソリューション「AZLM」※である。
同システム(EC、決済、専用アプリ等)全般を開発・運営・管理しており、月額サービス利用料に加えて流通額に応じた販売手数料を得る収益モデルとなっている。
※「AZLM」は「From A to Z, Live Marketing」の頭文字を引用したもので、あらゆる商品をライブでマーケティングできるリアル×デジタル体験型店舗のこと。
商品の購入はECで行う仕組みとなっている。
現在、渋谷と仙台空港、岩手の3ヶ所に「AZLM CONNECTED CAFE」を出店しており、「地方創生」をテーマにコネクテッドコマースにてFC展開や大手企業との協業により全国展開を進める計画である。
そのほか、2021年12月にアイエント(株)が運営する日本初のオンライン免税ECサービス「Tax Free Online※1」のシステム開発・保守提供するなど、自社開発したECプラットフォームの横展開を進めている。
また、AR/VR技術を用いたメタバースソリューションも含まれている。
その第1弾として「広報メタバースソリューション※2」の展開を進めている。
※1 「Tax Free Online」は訪日観光客をターゲットに「旅マエ、旅ナカ」のいずれの段階でもECサイトを通じて免税品を購入することが可能なサービスである。
注文はスマートフォンアプリを通じて行い、商品は提携先の宿泊施設や空港で受け取る仕組み。
同社はECサイトの開発料や保守サービス料のほか、流通額に応じたレベニューシェアを受け取る契約となっている。
※2 「広報メタバースソリューション」は、VRゴーグル・VRヘッドセットなどの専用機器を使わずにスマートフォンで利用できる。
国政・県政・市政を担う議員等の日々の活動をテキスト情報や動画などで紹介できる新たな広報バーチャル空間で、参加者との直接的な対話など交流も行える。
(5) ソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業
ソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業は、金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営管理及び支援を行うビジネスである。
新たに子会社化したあじょ※を中心に構成されており、2022年12月期第2四半期から売上計上している。
※あじょの子会社化前の業績は、2021年3月期で売上高223百万円、営業利益2百万円。
のれんは142百万円で5年定額償却となっている。
3. 市場動向と同社の強み
同社が主力市場としている証券業界のシステム投資額(ハードウエア除く)は年間2,000億円を上回る規模で推移していると見られ、提供形態別で見ると、クラウドでの提供が全体の約7割を占め、残りがスクラッチ開発※やパッケージ製品という構成となっており、クラウド利用の構成比が年々上昇傾向にある。
ここ数年はインターネット取引の普及拡大や取り扱い(外国株式、ETF、デリバティブ商品等)の拡大などもあって、システム投資は底堅く推移しており、今後も年率1ケタ台の安定成長が続くものと予想される。
※製品を開発する際に、既に存在する何かを土台とせずにゼロから新たに作り上げること。
証券取引システムは、従来から大手証券会社系列のシステム開発会社がシェアの大半を握る構造となっており、トップベンダーの野村総合研究所 (TYO:4307)、2位の(株)大和総研のグループで全体の約7割を占めていると見られる。
同社がこれら大手証券やその系列子会社の取引システムを受注する可能性は低いものの、過去には総合証券会社の取引システムをリプレースした実績もあり、可能性はゼロではない。
また、インターネット取引を取り扱う証券会社数はネット専門証券会社の新規参入も含めて増加傾向が続いており、同社にとって顧客開拓の好機となっている。
同社の強みは、証券に関する深い知識を持ったエンジニアを自社で多数抱えることで、顧客ニーズに最適なシステムを競合大手よりも短期間かつ低コストで設計・開発できる点にある。
証券システムの開発に関しては精鋭集団とも言える。
また、証券業界では新たな金融商品の開発や法規制の改正などによりシステム改修ニーズが頻繁に発生するが、こうしたニーズに対しても低コスト・短期間で対応可能となっている。
これは同社がエンジニアに対して金融知識を深めるための研修に注力していることに加え、システム開発を完全オブジェクト指向※で行っていることも要因と考えられる。
※オブジェクト指向とは、ソフトウエア開発技法の1つ。
あるデータ処理をオブジェクト(モノ)にまとめて部品として扱い、部品の組み合わせでシステム全体を構築していく開発手法のこと。
部品の再利用や分類がしやすく、開発工程を効率化できる利点がある。
弱みについては、重大なインシデントが発生した場合の補償などに関する信用力で競合大手と比較すると劣る点が挙げられる。
これは同社がまだ創業20年余りの新興企業であり、財務基盤が盤石ではないためだ。
このため相見積もりで競合より受注見積額が低かったとしても、相手側に案件が流れるケースもある。
ただ、将来的には収益成長とともに財務基盤も拡充する見通しであり、機能・サービス面での優位性を維持向上し続けることでシェアを拡大することも可能と弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)