*17:03JST 【金先物・ドバイ原油先物の魅力】~金先物・ドバイ原油先物の投資活用~vol.4
以下は、2023年10月19日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「金先物・ドバイ原油先物の投資活用(後編)」です。
前編は株式、金、原油相場について、後編は金先物・ドバイ原油先物の投資活用をフィスコ・マーケットレポーター高井ひろえが紹介、4回に分けて配信します。
大阪取引所の金先物価格は上場来高値更新の展開が続いています。
大手地金商の金小売価格も高値更新が続いており、最近では1gあたりの提示価格が10,000円を初めて超えました。
シカゴ・マーカンタイル取引所の金先物価格は、2023年は1トロイオンス当たり1,800から2,000ドルで推移しています。
一方為替市場では、ドル円は年始の1ドル131円台から9月末では1ドル149円台まで円安ドル高が進行し、大阪取引所の円建て金先物価格は高値更新が続いています。
アメリカのFRBは9月のFOMCで金利据え置きを決定しましたが、インフレ指標次第ではあと1回の利上げも辞さない姿勢を示しています。
一方、日本では先日の金融政策決定会合で金融緩和策の現状維持を全会一致で決めています。
植田和男総裁は「政策修正時期の決め打ちは到底できない」など発言しており、そのため、マイナス金利解除やYCC撤廃といった本格的な金融政策の転換までには、まだかなりの距離があると思われます。
このため、大阪取引所の金先物価格は高値圏での推移が続く可能性があると思われます。
次にインフレ動向です。
世界的に資源価格やモノのインフレは沈静化しつつあります。
ただ、直近では原油価格の上昇を皮切りにインフレの再燃が懸念されています。
各国の中央銀行もインフレ鈍化傾向にはポジティブに捉えているものの、依然として高水準で推移していることに警戒を示しています。
インフレの再燃は経済にとってはネガティブですが、安全資産としてインフレに対する耐性を持つ金にとっては、価格面でプラスに作用するでしょう。
国内では、インフレが続けば、日本銀行が金融引き締めに転じ、それが金にとってはネガティブなのではないかといった見方もありますが、日銀は当面は現行の緩和的な政策を続ける可能性が高く、利上げを通じた金価格へのマイナス作用の可能性は低いと予想されます。
このように、金価格についてはこの先も安定した推移が期待できそうです。
ぜひ、皆さんにも資産運用の際に、投資対象の一つとして大阪取引所が扱う金先物を組み入れることを検討していただければと思います。
過去の金先物と東証株価指数(TOPIX)の価格推移をみると、価格の連動性は低い傾向にあります。
直近は、コロナショック以降、世界経済への不安や政府や中央銀行の先行き不透明感から、連動しているように見えます。
ただ、リスク資産である株式などと比較すると今後下落局面になっても安全資産としての視点から下がりづらい側面を持っています。
上昇相場につながると、株式などの方が好パフォーマンスを出す可能性がありますが、分散投資の一役として金先物をポートフォリオに組み入れることは理にかなっているといえます。
さて、ここからは、今後のドバイ原油価格の見通しについて解説していきたいと思います。
原油は、需給の状況を把握していることが最も重要です。
産油国の状況を確認してみると、サウジアラビアやロシアは年末にかけて自主減産の継続を明らかにしており、需給を引き締める要因となっています。
また、米国の原油在庫に注目してみると、民間や公的部門ともに大幅に減少していることが明らかになっています。
これは、インフレ対策として国家の原油を放出して上がり続ける原油価格を抑制していたと考えられています。
直近は原油の在庫を積み増す動きがみられており、これ以上在庫を減少させる動きにはなりづらくなっている状況がうかがえます。
今後も将来的に原油を積み増す動きが広がると、需要が増加し需給が引き締まる要因となりそうです。
そのほか、米国のシェールオイルの生産低迷も需給ひっ迫の一員となっているようです。
さらに、今後は北半球の気温が低下し暖房需要が増加する、石油の需要シーズンを迎えることも原油相場には追い風となる可能性があります。
一方でイランの産油量がここにきて増加に転じてきています。
OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の協調減産が続いているものの、イランの増産によりOPECについては生産量が増えた形となりました。
来年にかけてはイランの産油量次第が原油価格に影響を及ぼす可能性がありそうです。
イランの産油量には注視しつつ、WTI原油先物及びドバイ原油先物の動向を見守っていきましょう。
ドバイ原油先物を活用した投資は、株式投資のリスクヘッジ手段として、原油先物を売り持ちにする手法があげられます。
2020年年初から23年9月22日まででのドバイ原油先物とTOPIX(東証株価指数)との相関係数は0.7と比較的高い相関性を有しています。
株式を買い持ちし、ドバイ原油先物を売り持ちすることで、景気後退時の株価下落局面には、原油先物売り持ちポジションの利益が膨らむことが期待され、リスクヘッジ手段として使えることがあげられます。
またドバイ原油先物の価格推移をチェックすることで、今後のガソリン価格や灯油価格を占う上で参考になるかもしれません。
最後に、金先物及びドバイ先物の取引詳細は簡単におさらいしておきます。
金投資というと、実物を思い浮かべる方が多いかもしれません。
金の実物投資には実物ならではの魅力がある一方、保管リスクなどが伴います。
先物取引であれば、こうしたリスクを負うことなく、純粋に金価格の上昇・下落を予想して、手軽に金への投資が行えます。
また、金の実物投資の場合は買う、もしくは持っているものを売ることしかできませんが、先物であれば買いからだけでなく、売りからも入ることができます。
さらに先物取引であれば、レバレッジを効かせた投資ができるため、資金効率も高いです。
投資の柔軟性の観点からは先物取引の方が、メリットが多いといえます。
金先物は、2023年9月22日時点の終値(中心限月)をベースに考えると、レバレッジは最大で46倍にもなります。
また、金標準先物では敷居が高いと感じる方も、取引単位と証拠金が標準先物の10分の1にとどまる金ミニ先物であれば、より手軽に投資をスタートできるかと思います。
このほか、金ミニ取引と同じ取引単位で決済期限のない金限日先物もありますので、金先物は投資家の投資スタイルに合った取引が可能です。
ドバイ原油先物も、2023年9月22日時点の終値ベース(中心限月)では、レバレッジが最大で10.5倍と、こちらも資金効率が高い点が魅力的です。
(1枚当たり50キロリットル単位となるので80620円×50kl/385500円という計算式)
最後に、先物取引を活用するメリットについて簡単に紹介して終わります。
先物取引では、証拠金取引であることから資金効率の良い投資が実現できることのほか、現物株取引ができない時間帯も対応できる、売りからも入れる柔軟な戦略立案ができる、祝日取引開始で大型連休中の空白リスクに対応できるなど、様々なメリットがあります。
これを機に、大阪取引所の先物商品を確認して、様々な投資を行っていっていただければ幸いです。
いかがでしたでしょうか。
今回は、大阪取引所が扱う金先物と東京商品取引所のドバイ原油先物について、主に価格動向を左右する需要と供給の両面から見通しも含めて解説してきました。
現物の株式取引と組み合わせて使うことは分散投資やヘッジ戦略としても有効ですので、ぜひ皆さんの投資ポートフォリオに組み入れることを検討してみていただければと思います。
本日は最後までご視聴いただきありがとうございました。
※原稿作成:フィスコアナリスト山本 泰三
前編は株式、金、原油相場について、後編は金先物・ドバイ原油先物の投資活用をフィスコ・マーケットレポーター高井ひろえが紹介、4回に分けて配信します。
大阪取引所の金先物価格は上場来高値更新の展開が続いています。
大手地金商の金小売価格も高値更新が続いており、最近では1gあたりの提示価格が10,000円を初めて超えました。
シカゴ・マーカンタイル取引所の金先物価格は、2023年は1トロイオンス当たり1,800から2,000ドルで推移しています。
一方為替市場では、ドル円は年始の1ドル131円台から9月末では1ドル149円台まで円安ドル高が進行し、大阪取引所の円建て金先物価格は高値更新が続いています。
アメリカのFRBは9月のFOMCで金利据え置きを決定しましたが、インフレ指標次第ではあと1回の利上げも辞さない姿勢を示しています。
一方、日本では先日の金融政策決定会合で金融緩和策の現状維持を全会一致で決めています。
植田和男総裁は「政策修正時期の決め打ちは到底できない」など発言しており、そのため、マイナス金利解除やYCC撤廃といった本格的な金融政策の転換までには、まだかなりの距離があると思われます。
このため、大阪取引所の金先物価格は高値圏での推移が続く可能性があると思われます。
次にインフレ動向です。
世界的に資源価格やモノのインフレは沈静化しつつあります。
ただ、直近では原油価格の上昇を皮切りにインフレの再燃が懸念されています。
各国の中央銀行もインフレ鈍化傾向にはポジティブに捉えているものの、依然として高水準で推移していることに警戒を示しています。
インフレの再燃は経済にとってはネガティブですが、安全資産としてインフレに対する耐性を持つ金にとっては、価格面でプラスに作用するでしょう。
国内では、インフレが続けば、日本銀行が金融引き締めに転じ、それが金にとってはネガティブなのではないかといった見方もありますが、日銀は当面は現行の緩和的な政策を続ける可能性が高く、利上げを通じた金価格へのマイナス作用の可能性は低いと予想されます。
このように、金価格についてはこの先も安定した推移が期待できそうです。
ぜひ、皆さんにも資産運用の際に、投資対象の一つとして大阪取引所が扱う金先物を組み入れることを検討していただければと思います。
過去の金先物と東証株価指数(TOPIX)の価格推移をみると、価格の連動性は低い傾向にあります。
直近は、コロナショック以降、世界経済への不安や政府や中央銀行の先行き不透明感から、連動しているように見えます。
ただ、リスク資産である株式などと比較すると今後下落局面になっても安全資産としての視点から下がりづらい側面を持っています。
上昇相場につながると、株式などの方が好パフォーマンスを出す可能性がありますが、分散投資の一役として金先物をポートフォリオに組み入れることは理にかなっているといえます。
さて、ここからは、今後のドバイ原油価格の見通しについて解説していきたいと思います。
原油は、需給の状況を把握していることが最も重要です。
産油国の状況を確認してみると、サウジアラビアやロシアは年末にかけて自主減産の継続を明らかにしており、需給を引き締める要因となっています。
また、米国の原油在庫に注目してみると、民間や公的部門ともに大幅に減少していることが明らかになっています。
これは、インフレ対策として国家の原油を放出して上がり続ける原油価格を抑制していたと考えられています。
直近は原油の在庫を積み増す動きがみられており、これ以上在庫を減少させる動きにはなりづらくなっている状況がうかがえます。
今後も将来的に原油を積み増す動きが広がると、需要が増加し需給が引き締まる要因となりそうです。
そのほか、米国のシェールオイルの生産低迷も需給ひっ迫の一員となっているようです。
さらに、今後は北半球の気温が低下し暖房需要が増加する、石油の需要シーズンを迎えることも原油相場には追い風となる可能性があります。
一方でイランの産油量がここにきて増加に転じてきています。
OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の協調減産が続いているものの、イランの増産によりOPECについては生産量が増えた形となりました。
来年にかけてはイランの産油量次第が原油価格に影響を及ぼす可能性がありそうです。
イランの産油量には注視しつつ、WTI原油先物及びドバイ原油先物の動向を見守っていきましょう。
ドバイ原油先物を活用した投資は、株式投資のリスクヘッジ手段として、原油先物を売り持ちにする手法があげられます。
2020年年初から23年9月22日まででのドバイ原油先物とTOPIX(東証株価指数)との相関係数は0.7と比較的高い相関性を有しています。
株式を買い持ちし、ドバイ原油先物を売り持ちすることで、景気後退時の株価下落局面には、原油先物売り持ちポジションの利益が膨らむことが期待され、リスクヘッジ手段として使えることがあげられます。
またドバイ原油先物の価格推移をチェックすることで、今後のガソリン価格や灯油価格を占う上で参考になるかもしれません。
最後に、金先物及びドバイ先物の取引詳細は簡単におさらいしておきます。
金投資というと、実物を思い浮かべる方が多いかもしれません。
金の実物投資には実物ならではの魅力がある一方、保管リスクなどが伴います。
先物取引であれば、こうしたリスクを負うことなく、純粋に金価格の上昇・下落を予想して、手軽に金への投資が行えます。
また、金の実物投資の場合は買う、もしくは持っているものを売ることしかできませんが、先物であれば買いからだけでなく、売りからも入ることができます。
さらに先物取引であれば、レバレッジを効かせた投資ができるため、資金効率も高いです。
投資の柔軟性の観点からは先物取引の方が、メリットが多いといえます。
金先物は、2023年9月22日時点の終値(中心限月)をベースに考えると、レバレッジは最大で46倍にもなります。
また、金標準先物では敷居が高いと感じる方も、取引単位と証拠金が標準先物の10分の1にとどまる金ミニ先物であれば、より手軽に投資をスタートできるかと思います。
このほか、金ミニ取引と同じ取引単位で決済期限のない金限日先物もありますので、金先物は投資家の投資スタイルに合った取引が可能です。
ドバイ原油先物も、2023年9月22日時点の終値ベース(中心限月)では、レバレッジが最大で10.5倍と、こちらも資金効率が高い点が魅力的です。
(1枚当たり50キロリットル単位となるので80620円×50kl/385500円という計算式)
最後に、先物取引を活用するメリットについて簡単に紹介して終わります。
先物取引では、証拠金取引であることから資金効率の良い投資が実現できることのほか、現物株取引ができない時間帯も対応できる、売りからも入れる柔軟な戦略立案ができる、祝日取引開始で大型連休中の空白リスクに対応できるなど、様々なメリットがあります。
これを機に、大阪取引所の先物商品を確認して、様々な投資を行っていっていただければ幸いです。
いかがでしたでしょうか。
今回は、大阪取引所が扱う金先物と東京商品取引所のドバイ原油先物について、主に価格動向を左右する需要と供給の両面から見通しも含めて解説してきました。
現物の株式取引と組み合わせて使うことは分散投資やヘッジ戦略としても有効ですので、ぜひ皆さんの投資ポートフォリオに組み入れることを検討してみていただければと思います。
本日は最後までご視聴いただきありがとうございました。
※原稿作成:フィスコアナリスト山本 泰三