[ニューヨーク 8日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対して小幅安となった。週間では対ユーロで今年最大の下げを記録する見込み。米雇用統計がまちまちの内容となり、米連邦準備理事会(FRB)が6月に利下げするとの見方が維持された。
米労働省が8日発表した2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比27万5000人増加と、市場予想(20万人増)を上回った。ただ、過去2カ月分の雇用の増加数が合計16万7000人下方修正されたほか、失業率が約2年ぶりの水準に上昇し、米労働市場が減速しつつある可能性が示唆された。
エクイティ・キャピタルのチーフエコノミスト、スチュアート・コール氏は「最近のインフレ統計を受け、FRBが早期に利下げに踏み切れないのではないかと市場はやや懸念していた」と指摘。ただ、きょうの雇用統計は「緩和規模が年初に見込まれていたほど大幅ではないとしても、FRBが年内に利下げを実施するのに適切な方向に進んでいるという楽観的な見方を与える」とし、「少なくとも短期的にはドルは軟調に推移する」とした。
ユーロ/ドルは0.06%安の1.09425ドル。週間では1%近く上昇し、12月22日に終わった週以来の大幅な上昇となった。
一方、日本円は対ドルで5週間ぶりの高値を付けた。
時事通信は8日、日銀が金融緩和の正常化を円滑に進めるため、先行きの国債買い入れ規模をあらかじめ示す、新たな「量的」金融政策の枠組みを検討していることが明らかになったと報じた。
またロイターは、日銀は18―19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除を含む政策修正について議論するとみられる。日銀では昨年を上回る賃上げ実現に期待感が高まっており、政策委員の間でも同会合でのマイナス金利解除を支持する声に広がりが出ているもようと報じた。
ドル/円は0.68%安の147.05円と2月2日以来の安値を付けた。
XTBのリサーチディレクター、キャスリーン・ブルックス氏は「日銀が世界の中央銀行のトレンドに逆らい、今月末に利上げに踏み切るとの思惑が強まり、円は上昇している」と言及。「短期的にはドル/円は強力な下降トレンドが形成されつつあり、145円を試す可能性があるとみている」と述べた。
ポンドは対ドル・対ユーロで上昇。欧州中央銀行(ECB)やFRBがイングランド銀行(英中央銀行)よりも利下げに近づいているかもしれないとの兆しを受けた。ポンド/ドルは0.34%高の1.2854ドル。一時7月以来の高値を付けた。
米欧の金利が6月に低下し始めるとの見方が強まり、リスクに敏感な豪ドルとニュージーランド(NZ)ドルが上昇した。豪ドルは0.09%高、NZドルは0.05%高だった。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは一時7万0175ドルと過去最高を更新。終盤は2.77%高の6万9207ドル。
ドル/円 NY終値 147.07/147.08
始値 147.11
高値 147.45
安値 146.49
ユーロ/ドル NY終値 1.0937/1.0941
始値 1.0934
高値 1.0980
安値 1.0921