【先週の概況】■7月0.5ポイントの米利下げ観測後退でドル下げ渋り先週のドル・円は下げ渋り。
一時107円台前半までドル安・円高に振れる場面があったが、週末前にドルの下げ幅は縮小した。
7月15日発表の中国の4-6月期国内総生産(GDP)は減速したが、市場予想と一致。
同時発表の6月鉱工業生産と6月小売売上高は市場予想を大きく上回る伸びとなったことから、リスク選好的な円売りが先行した。
7月17日発表の6月米住宅着工件数と6月米住宅着工許可件数は、市場予想を下回った。
また、ウィリアムズNY連銀総裁やクラリダ米FRB副議長が積極的な利下げの可能性を示唆し、7月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50ポイントの利下げ観測が台頭したことから、リスク回避的なドル売りが広がり、ドル・円は一時107円21銭まで下落した。
19日のニューヨーク外為市場でドル・円は、107円59銭から一時107円98銭まで反発した。
「イラン革命防衛隊が英国籍のタンカーを拿捕」との報道を受けて、ドルを買い戻す動きが観測された。
7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(0.5ポイント)の利下げ観測はやや後退し、ドル・円は107円74銭でこの週の取引を終えた。
ドル・円の取引レンジ:107円21銭−108円38銭。
【今週の見通し】■米Q2GDP減速予想でドル・円は弱含みか今週のドル・円は弱含みか。
米連邦公開市場委員会(FOMC)を翌週(7月30−31日)に控え、4-6月期米国内総生産(GDP)で減速が確認された場合、0.50ポイントの利下げに思惑が広がりやすく、ドル売りが強まる可能性がある。
トランプ米大統領は協議不調の場合、対中制裁を検討していることから、米中貿易摩擦の激化が再び警戒されており、ドルは主要通貨に対して売られやすい地合いが続きそうだ。
今月30-31日開催のFOMCについては、利下げ幅をめぐって市場の見方は二分されており、今週発表される経済指標の内容次第でドル・円相場は大きく動く可能性がある。
7月26日発表の4-6月期米GDPは、前期の3%台から1%台後半に減速する見通しとなっている。
15日に発表された中国の4-6月期GDPで前年同期比の伸び率は、1992年以降では最低水準となった。
米中貿易摩擦は米国経済にも大きな影響を与えており、経済の腰折れ懸念を背景に0.50ポイントの利下げ観測が再燃し、ドルを圧迫しよう。
一方、英国では今月22日以降に強硬派による新政権が発足する予定となっている。
英下院は18日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)について、EUとの離脱協定を結ばない「合意なき離脱」を強行するいかなる試みも阻止することを定めた法案を賛成多数で可決した。
次期首相が議会を休会して合意なき離脱を強行することは困難になるが、市場は新政権の動向を注目している。
なお、25日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会では9月利下げの必要性などについて議論される見込み。
この場合、ユーロ売り・米ドル買いが強まり、米ドル・円の相場動向にも影響を与える可能性があるが、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。
予想レンジ:106円00銭−109円00銭【米・6月耐久財受注】(25日発表予定)25日発表の米6月耐久財受注は前月比+0.8%と、前回の-1.3%から大幅な改善が予想される。
ただ、輸送用機器を除く受注は5月実績を下回ると予想されており、市場予想に届かなかった場合はドル売りに振れやすい見通し。
【米・4-6月期国内総生産(GDP)速報値】(26日発表予定)26日発表の米4-6月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+1.8%と、前期の3%台から伸びが顕著に鈍化する見通し。
連邦公開市場委員会(FOMC)を翌週に控え、大幅利下げ観測への思惑からドル売りにつながりやすい。