国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しで2019年の成長率を4月の+3.3%から+3.2%に下方修正した。
世界経済の成長は過去10年間で最低の伸びにとどまると見ている。
米中の貿易摩擦、英国の欧州連合(EU)離脱の不透明性がくすぶり、主要リスクは下方だと警告した。
また、物価圧力が弱く低金利が続くため、ショックへの対応の金融政策の余地を狭め、ショックを受けた低成長が通常よりも長引く可能性があると指摘した。
IMFはさらに、米国のトランプ政権による貿易政策が米国経済以上に中国経済に害を与えていると指摘した。
実際2019年の中国経済の成長率を6.2%と、4月6.3%から下方修正した一方で、2019年米国経済の成長率を2.6%と、4月の2.3%から引き上げた。
中国との貿易交渉において、米国のレバレッジも高まる。
関税が米国経済に与える影響が最小限にとどまる中、米国政府による追加関税は中国経済のみならず世界経済をもさらに悪化させることになる。
中国は公約していた米国の農業製品の購入をし始めたとの報道もある。
関係筋の話として、米国の貿易交渉団が29−31日まで中国を訪問すると報じられた。
一行にムニューシン米財務長官やライトハイザーUSTR代表が含まれるかどうかは現状で定かではない。
市場の期待に反し、米国政府は中国との貿易協定の合意にはかなりの時間がかかると覚悟している。
しかし、米国政府による対中追加関税の発動さえ避けられれば、世界経済の一段の悪化が回避できる可能性がある。