[東京 29日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、小幅にドル安/円高の105円後半。この日は実需の売りが散見されたほか、米長期金利が反落したことで、ドルは弱含みに推移した。前日の米国債市場で進んだ長短金利の逆転(逆イールド)現象は東京時間も続き、市場の地合いはリスク回避方向に傾いた。
早朝の取引で、ドルは米財務長官の発言を受けて、106.01円から106.07円付近まで若干上昇したが、その後、まもなく売り戻された。
ムニューシン米財務長官は28日、米国は現時点では外為市場に介入する意向はないと述べる一方で、介入をする場合、米財務省が米連邦準備理事会(FRB)や他国と協調して介入をすればより効果的であるとの見解を示した。
この日は実需の売りが散見され、ドルは正午前に105.83円まで下落した。米10年国債利回りは、この過程で1.4442%まで低下し、ドル売り安心感を与えた。
市場では「(米国債市場で)逆イールドが定着しそうなこと、株式市場が、逆イールドが示唆する景気減速を警戒していることなどで、(外為市場も)リスクオンになりにくい」(国内銀)との意見が聞かれた。
午後3時時点で、2年債利回りと10年債利回りのスプレッドはマイナス4.1ベーシスポイント(bp)。前日の米国市場ではマイナス幅が6.5bpまで拡大した。
米国債市場では、8月14日に2―10年国債利回りが、2007年以来初めて逆転した。その後、順イールドに戻る局面もあったものの、トレンドとしては下向きでマイナス圏に定着する公算が大きいとみられている。また、3カ月短期財務省証券(Tビル)と10年国債のスプレッドは5月から既に逆転している。
ただ、前回、逆イールドが発生した2006年8月から2007年5月にかけて、ドル/円相場(月中平均値)ではドル高/円安傾向がみられており、逆イールドは必ずしも円高を示唆するものではない。
オンショア人民元は1ドル=7.1633元で取引を開始した後、一時7.1711元まで下落したが、現在は7.1658元付近で比較的落ち着いた値動きとなっている。前営業日比終値は7.1645元だった。
米国の対中制裁関税発動を3日後に控え、市場では、中国人民銀行が人民元の下落ペースを緩やかなものにするよう制御しているとの見方が広がっている。
米中通商交渉に関して市場では「このままずっと決着しない」(外銀)との見方が広がっているが、こうした中で、人民銀行がどのようなペースで、どのくらいの水準まで、人民元安を容認するかに関心が注がれている。
ドル/円 ユーロ/ドル (EUR=) ユーロ/円 (EURJPY=)
午後3時現在 105.86/88 1.1083/87 117.33/37
午前9時現在 106.07/09 1.1083/87 117.58/62
NY午後5時 106.11/14 1.1077/78 117.54/58
(為替マーケットチーム)